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「お、いらっしゃーい」
「いらっしゃい、早く早くッ」
『おじゃまします……て、エ゛ッ―――どういう状況ですかッ!?』
仕事が終わったら連絡してくれ、と言われていたので、その通りに連絡を入れれば、家に直接来てくれと言われ、きてみたらこれだ。完っ全に出来上がっている。
「よく来たなー! 久しぶり!!」
「どうも」
『あっ、はい。どうもこんばんは、神谷さんに小野D先輩』
「佳正〜! 天霧君来たよー」
「あ? ほんとうだ、ぎりーくんだ」
『あっ、かろうじて意識はあるんですね。...ったく、ちゃんと来たのにやけ酒なんてどういう了見ですか。約束が違いますよ』
新人時代の約束をちらつかせれば、目をキラキラとさせ、「おぼえていてくれたの!?」なんて子供のように興奮している。
約束、とはいっても、ほぼ脅しというか、命令に近いものだったけどね。 " 先輩命令 " を断ったらヤケ酒するって、さりげなく呑みの席に誘われた時に言われたし。とてつもなく不本意だったけど、了承せざるを得なかったんだ。この人に酒を飲ませるとロクなことがないし。
『覚えてるもなにも、忘れられるわけないでしょう。あの頃のことですから』
「おっ、じゃあ俺達と焼肉行ったときの約束も覚えてたりする?」
『覚えてるわけないでしょう? と言いたいところですけど、そんな約束した覚えはありません。にやけないで下さい』
「…ははは、だってさ。小野くん」
「手厳しいな、相変わらず〜」
なぜかいた小野D先輩と神谷さんも加えて、酔っぱらっている先輩を相手にする。
「そういやぁ天霧君、明日仕事?」
『はい。午後からですけど』
「じゃあ、佳正託して行っても大丈夫? 俺達、朝一から収録あるんだよね」
『あ、いいですよ。元よりそのつもりでしたし』
「ほんと!? ありがとう。じゃあ、僕はこれで。 小野くんも遅くならないようにね、あと飲みすぎるなよ〜」
ひらひらと手を振って、玄関に向かっていった神谷さんに向かって頭を下げる。対する小野D先輩は、ちょっと上ずった声で返事をして、彼を見送った。
「……よぉーし、じゃあほんだい」
「だな。A覚悟しなよ?」
『え、なんすか、先輩方。怖いっすよ?』
ヒヤリと汗が流れた。何、ほんとなに? 何かしら聞かれるとは思ってたけど、この尋問っぽい雰囲気はなに?
ねっとりとした熱を孕んだ双眸に見つめられて、ごくりと喉が鳴った。
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若宮(スイス/シャラルー☆)(プロフ) - いろはさん» わわわわ…! コメントありがとうございます。綺麗な文章だなんて言われ慣れて無く、気が動転してしまいました💧 なけなしの語彙力と文章構成能力で執筆しているので、むれがありますが、書けるときにゆっくりと更新していきますので、続編もよろしくお願いします。 (2022年3月25日 23時) (レス) id: 85bfe49477 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - 文字って主さんが書いているんですか??急でごめんなさい。そうだとしたら綺麗すぎません?!尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年3月25日 19時) (レス) @page2 id: 16f74b0176 (このIDを非表示/違反報告)
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