検索窓
今日:7 hit、昨日:15 hit、合計:47,805 hit

ページ46

.




 ちょっと気がかりな要素が増えたけれども、畠中さんと雑談をしてからというもの、少し心が軽くなった気がしている。



「ね、ぎりーさんはこの後仕事?」

『んや、今日はもう終わり。……でも、先輩に呼ばれてるから、フリーではない、かな』

「そっかw お疲れさま。
 ……先輩って呼んでるってことは、お相手は細谷さんか!」

『そう 笑
 じゃあ、また』

「うん! 気を付けて帰ってくださいねー!」

『畠中さんも、仕事頑張って』



 三時のおやつまでダラダラと駄弁っていた俺達は、畠中さんが仕事の時間になったということで、食堂前で別れた。


 即帰宅、というわけでもなく、俺の足は事務所に向かって歩いていく。あの人は、ムードメーカーだから。だからきっと、俺の心にも安らぎを与えてくれたのだろう。
 ...ここ最近は、本当にずっと根詰めていたから。としきの分の仕事も今ある予定に詰め込んで、仕事仕事仕事の毎日。それに加えて、今後のことも視野にいれて考えていかなければならなかった。……先の対話で、幾分が心が軽くなったとはいえ、何も解決していないという事実は変らない。としきが入院してくれている間は正直助かっていた。アイツの生を考えるだけで行動に移す必要はなかったから。不可抗力だとはいえ、あの期間は俺はあいつには関われず、代わりに心強い親友がアイツを守ってくれていたから。……でも、としきは退院して復帰してしまった。今まで通りじゃいかないことくらいは理解している。

 うまく言えないけど、ただ心配の一言に尽きる。普通に仕事をさせて、生活をさせて、また何かあったら、そう考えると怖くて堪らない。...でも、アイツは俺の過保護を望むだろうか。それを考えたら、足が竦んだ。
 守りたい一心で、俺はずっとそばにいた。だけど、それが理由で、今回はあの女に目をつけられ、としきが傷つけられた。

(じゃあ、俺はどうすれば…?)

 守りたいのに、近くにいたらまた危険な目に合わせてしまうかもしれない。近くにいるべきではないのに、何かあったら…と思うと気にかけて傍にいたくなる。……ああ、もどかしい。俺はいったいどうするのが、正解なんだ!






「っ天霧君、」

『あっ、ぇっと……どうしました___安元さん』

「…いや、ちょっと体調悪そうに見えたから...大丈夫?」

『あぁ、ご心配ありがとうございます。考え事をしていただけなので、大丈夫ですよ』



 では、と会釈して早急にその場から立ち去る。ダメだ、心配させちゃ。これじゃあ、元も子もないだろうが。




.

★→←★



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (47 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
121人がお気に入り
設定タグ:男性声優 , 増田俊樹
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

若宮(スイス/シャラルー☆)(プロフ) - いろはさん» わわわわ…! コメントありがとうございます。綺麗な文章だなんて言われ慣れて無く、気が動転してしまいました💧 なけなしの語彙力と文章構成能力で執筆しているので、むれがありますが、書けるときにゆっくりと更新していきますので、続編もよろしくお願いします。 (2022年3月25日 23時) (レス) id: 85bfe49477 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - 文字って主さんが書いているんですか??急でごめんなさい。そうだとしたら綺麗すぎません?!尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年3月25日 19時) (レス) @page2 id: 16f74b0176 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シャラルー☆ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。