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ちょっと気がかりな要素が増えたけれども、畠中さんと雑談をしてからというもの、少し心が軽くなった気がしている。
「ね、ぎりーさんはこの後仕事?」
『んや、今日はもう終わり。……でも、先輩に呼ばれてるから、フリーではない、かな』
「そっかw お疲れさま。
……先輩って呼んでるってことは、お相手は細谷さんか!」
『そう 笑
じゃあ、また』
「うん! 気を付けて帰ってくださいねー!」
『畠中さんも、仕事頑張って』
三時のおやつまでダラダラと駄弁っていた俺達は、畠中さんが仕事の時間になったということで、食堂前で別れた。
即帰宅、というわけでもなく、俺の足は事務所に向かって歩いていく。あの人は、ムードメーカーだから。だからきっと、俺の心にも安らぎを与えてくれたのだろう。
...ここ最近は、本当にずっと根詰めていたから。としきの分の仕事も今ある予定に詰め込んで、仕事仕事仕事の毎日。それに加えて、今後のことも視野にいれて考えていかなければならなかった。……先の対話で、幾分が心が軽くなったとはいえ、何も解決していないという事実は変らない。としきが入院してくれている間は正直助かっていた。アイツの生を考えるだけで行動に移す必要はなかったから。不可抗力だとはいえ、あの期間は俺はあいつには関われず、代わりに心強い親友がアイツを守ってくれていたから。……でも、としきは退院して復帰してしまった。今まで通りじゃいかないことくらいは理解している。
うまく言えないけど、ただ心配の一言に尽きる。普通に仕事をさせて、生活をさせて、また何かあったら、そう考えると怖くて堪らない。...でも、アイツは俺の過保護を望むだろうか。それを考えたら、足が竦んだ。
守りたい一心で、俺はずっとそばにいた。だけど、それが理由で、今回はあの女に目をつけられ、としきが傷つけられた。
(じゃあ、俺はどうすれば…?)
守りたいのに、近くにいたらまた危険な目に合わせてしまうかもしれない。近くにいるべきではないのに、何かあったら…と思うと気にかけて傍にいたくなる。……ああ、もどかしい。俺はいったいどうするのが、正解なんだ!
「っ天霧君、」
『あっ、ぇっと……どうしました___安元さん』
「…いや、ちょっと体調悪そうに見えたから...大丈夫?」
『あぁ、ご心配ありがとうございます。考え事をしていただけなので、大丈夫ですよ』
では、と会釈して早急にその場から立ち去る。ダメだ、心配させちゃ。これじゃあ、元も子もないだろうが。
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若宮(スイス/シャラルー☆)(プロフ) - いろはさん» わわわわ…! コメントありがとうございます。綺麗な文章だなんて言われ慣れて無く、気が動転してしまいました💧 なけなしの語彙力と文章構成能力で執筆しているので、むれがありますが、書けるときにゆっくりと更新していきますので、続編もよろしくお願いします。 (2022年3月25日 23時) (レス) id: 85bfe49477 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - 文字って主さんが書いているんですか??急でごめんなさい。そうだとしたら綺麗すぎません?!尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年3月25日 19時) (レス) @page2 id: 16f74b0176 (このIDを非表示/違反報告)
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