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 西山の後を追いかけるように、山下さんも帰って行った。去り際、俺だけに聞こえるように、山下さんが小声で呟く。徐に、見送ろうと振り返った先には、したり顔の山下さんがいて、あぁこれ...煽られてるなと表情を読みとく。バタンと閉じられた扉の鍵を閉めて、苦々しく息を吐き出す。ピクリと、視界の端に見えた微細な動きを追うように、ゆっくりと顔を奴の方へと向けた。



『……んぅ、あれぇ…大輝君はぁ?』


 惚けた風を装ってか、ゆったりと呂律の回らない口でそう紡ぐ奴の胸ぐらをつかみそうになって、伸ばした手を慌てて引き、少しの間を置いてからもう一度、手を伸ばした。
 葛藤のある俺の心はシラフであろうがなんであろうが、お構いなしに荒れている。そんな心情を知ってか知らずか、幸せそうに笑っている奴に、苦虫を噛みつぶしたような表情をぶつけてしまった。……複雑だ。嫌気がさした。...それがたとえ、演技や仕事モードのアイツであっても、俺以外との関わりをすんなりとできるようになった、心を開いたようにみせられるようになった本人の成長を喜ぶべき、……なのだろうけど。世間から隠されたコイツの素を知っていられるのは俺達親友だけの特権だったから...抑えられそうになかった。親友が俺達だけじゃ、……なくなりそうで、不安でどうにかなりそうだった。





『―――……としき?』



 奴の頭に置いていた俺の手に、奴は自身の手を重ねて、首を少し傾けた。
 キュッと結んだ唇と不安げに揺れる瞳が俺をとらえる。



「...なんでお前がそんな顔するんだよ」

『だって。おれ、っ』

「泣きそうな顔すんなって。別に俺はなんともねぇよ」

『としきのかお……っ』

「だから、俺は平気だって言ってんだろ。悪かったな、お前にそんな顔させて」



 奴の後頭部に素早く手を回し、俺の方へと倒れこませる。……っ、何でAが泣いてんだよ。泣きたいのはこっちだっつーの。
 良くも悪くも、俺達はお互いのことを少しの表情と動作、言葉でだいたい察してしまえる。だからきっと、



『俺、驚かせたくて、ちょっとしたイタズラ心だったんだ、ごめん。としきっ...お前がそんな顔するとは思ってなくてっ』



 ……ほら。



「あーはいはい。わかってるから。
 お前、俳優としての才能ほぼないもんな」

『……ぅ、それだったらとしきだって』

「俺はいいの」

『声のツメが甘いよ。お前酔ったときそんな声してねぇもん』

「...はああ??」








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若宮(スイス/シャラルー☆)(プロフ) - いろはさん» わわわわ…! コメントありがとうございます。綺麗な文章だなんて言われ慣れて無く、気が動転してしまいました💧 なけなしの語彙力と文章構成能力で執筆しているので、むれがありますが、書けるときにゆっくりと更新していきますので、続編もよろしくお願いします。 (2022年3月25日 23時) (レス) id: 85bfe49477 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - 文字って主さんが書いているんですか??急でごめんなさい。そうだとしたら綺麗すぎません?!尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年3月25日 19時) (レス) @page2 id: 16f74b0176 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シャラルー☆ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月21日 23時

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