俺のマブは、スパダリ（？）らしい

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　よりにもよって、何であの場にアイツがいたのか。頭を捻っても捻っても答えは出ない。
　偶然に偶然が重なった致し方のない出来事、で片付けられる事象も、今回は難しい。




　……ついに、アイツに接近したのか。
　そう思うと、胃がキリキリと痛む。直接ではないにしろ、変装させたアイツから情報を取ろうだなんて、ヤなことをしてくれる。


　あの子どもだって、どこかの子役だろうに。まったく、手の込んだことをするもんだ。
　つい数分前の出来事に、頭を悩ませる。せっかく、俺がアポ入れまでしたってのに、隙のないやつ。 若々しい服装で、ばっちりメイクまでキメて、会いに来た編集者の顔を思い浮かべて、溜息を吐き出す。



(……これで終わりじゃねーんだろーな、はぁ)と、頭を振って邪念をはらう。
　あの子どもを引き渡して、アイツがいた公園にまで歩みを戻した。

　どうせもういないだろうけど、それならそれでいいや。
　そんな気持ちで、公園に足を踏み入れたのに……。





『……は？ としきっ！？』


　ベンチでぐったりしているアイツを見つけたら、頭の中が真っ白になった。



『おいっ、としき！？ としっとしきっ！！』


　極力揺らさずに、肩を叩いて呼びかける。
　声掛けも虚しく、アイツは何も返してくれない。うるせーよ、の一言すらも返ってこなかった。




『……っは、くそっ』


　ベンチに拳を打ちつけて嘆く。
　救急隊がとしきを救急車の中に運び入れるのを、茫然と眺めることしか俺にはできなかった。









　...近くであの女がほくそ笑んでいるのも、知らずに。









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