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「ばあっ!!」


「うわあああっ」


 情けない声を上げて、飛びのいた。
 だって、だだだ、だって……目の前に狐のおばけ、が……。



「あはははっ! びっくりしちゃった?? おにいさん、ごめんね!」

「……あ、はは。びっくりした。そのお面どうしたの?」

「ママがかってくれたの。きょうと のおみやげだって! かっこいいでしょ?」



 きらきらと目を輝かせる少年に、かっこいいねと言葉をかける。
 正直、心臓が飛び出るほどに驚いたのだから、もう顔が引き攣っていたに違いない。




「ママ、まだかなー?」

「そうだね、遅いね」



 ぽつぽつと、雨が降り始めた頃。
 ようやく遠くに人影が見えてきて、あっ!ママかも! なんて少年が勢いよく走りだしていくから、俺もつられて立ち上がる。
 ゆっくりと降ってきていた雨も、秒単位で勢いを増し、ついには土砂降りの雨となった。





『あ、……ええっとかなとくん?』


 聞き覚えのある声に、遠くの人物に焦点を合わせる。
 見覚えのあるシルエットに、声。少年を見事に抱き上げたソイツは、迷うことなく俺の方に近づいてきた。




『……わー、ずぶ濡れ。増田くん、何してんの?』


 お仕事モードのアイツは、俺がこれ以上濡れないように傘を傾け、中に入れてくれた。



「あのね、としきおにいちゃんがね、おしゃべりしてくれたんだ!」

『ふぅん。そっか、良かったね。かなとくん』

「うん! あとね、このおめん、かっこいいっていってくれたんだー!」


 自分の父親に今日の出来事を報告するかのように、楽しそうに会話をするアイツとかなとくんに目を白黒させる。え、何お前、子持ちだったの? ……俺の心の中を読むようにして、アイツはウインクを俺に送る。 わけがわからず、こんがらがる俺にアイツは鞄の中からタオルを取り出し、俺に押し付けた。



『風邪ひくからさ。水拭いとけよ、増田くん』

「え……あ、」

『んじゃ、かなとくんはママのおともだちのところに行きますか!』

「うん! ばいばい! としきおにいちゃん!!」



 アイツにかかえられながら大きく手を振る少年に、戸惑いながらも手を振り返す。
 小さくなっていくアイツの背を、ぼんやりと眺めながら、しばらく感傷に浸った。









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若宮(スイス/シャラルー☆)(プロフ) - いろはさん» わわわわ…! コメントありがとうございます。綺麗な文章だなんて言われ慣れて無く、気が動転してしまいました💧 なけなしの語彙力と文章構成能力で執筆しているので、むれがありますが、書けるときにゆっくりと更新していきますので、続編もよろしくお願いします。 (2022年3月25日 23時) (レス) id: 85bfe49477 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - 文字って主さんが書いているんですか??急でごめんなさい。そうだとしたら綺麗すぎません?!尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年3月25日 19時) (レス) @page2 id: 16f74b0176 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シャラルー☆ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月21日 23時

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