ずっと。 ページ48
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ゆっくりと目を開けると入ってきた景色から、医務室だということがわかった。
私倒れてどうなったんだっけ、そんな風に考えてると。
「A…?」
名前を呼ばれ、その方向をみると五条が立っていた。
早足で私の方に向かってくる。
『わっ、ちょ、くるし』
「良かった…」
ぎゅうと抱きつかれ少し苦しい。
そしてそのまま私は口を開いた。
『ごめん…。
五条に八つ当たりして』
緊張からか声が掠れて、今にも消えそうなものだった。
「僕もごめんね」
頭の上で五条の声が聞こえたと思ったら、ゆっくりと離れる五条の体。
「Aが嫌なら、近づかないし、喋りかけたりもしない。
それを気付かなかった僕の責任でもあるからさ、ほんとにごめん」
じゃ、硝子呼びに行ってくる、立ち上がる五条の袖を無意識に掴む。
A?と呼ばれているが、気にしない。
『違う…!
五条が謝る必要がなくて、私だけが悪いんだよ、勝手に八つ当たりして、それで…』
喉で引っかかり言葉が出なくて、五条に嫌われる、そう思うだけまた涙が出そうになる。
泣くな、そう思うと涙が出てくる。
私が泣き始めた途端、はぁ、と五条のため息が聞こえ、全身が冷たくなった。
『本当にごめん…っ、なさい。
だから…、』
だから、どうか嫌いにならないで…
五条がどんな顔をしてるかはわからないけど、私はそれを祈るばかり。
「嫌いになるわけないでしょ」
五条がまたしゃがみ、目を擦る私の手を止めて、口を開く。
「僕さ、性格悪いけど大切な人を泣かせたいって思うほど悪くはない」
『大切な人…』
「そ、気付かなかった?僕Aのことが好き」
いつの間にか目隠しを取った五条と目が合う。
時が止まったような気がした。
好き?私のことを?
ドラマとかでは照れたりする様子を見たことがあるけど、そんな余裕なんてない。
「それで、Aは?」
『えっ…、今言わなきゃ駄目?』
「ダメ」
ほら、はやくと急かされるもんだから腹を括って。
『私も五条のことが好き。
アンタが嫌いな上層部の女だけど、好きなの』
「Aは特別だよ。
呪ってしまうぐらいずっと愛すよ」
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完
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なち(プロフ) - 楽しい作品読ませていただいてます!ありがとうございます。本当ならここで作品の感想とか書くのでしょうが、頭痛の表現がめちゃくちゃ共感してしまい衝動的にコメントしてます。。除夜の鐘を鳴らされてる気分本当に共感しかないです!これからも読ませていただきます! (12月3日 0時) (レス) @page29 id: 95ed38705c (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - リサっペさん» 返信遅くなり、大変申し訳ありません。続編はこちらの都合上削除させていただきました。更新がうまくできておらず、URLが貼られている状態になっていました。申し訳ありませんでした。 (2021年6月26日 19時) (レス) id: 467d149bfa (このIDを非表示/違反報告)
リサっペ(プロフ) - 続編のUR Lとべません!! (2021年6月6日 21時) (レス) id: 8897e851e9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 黒蝶 かぐやさん» 返信遅くなり申し訳ありません…!!なるほど!めちゃくちゃ良い案ありがとうございます…!!!使う機会がありましたら使わせていただきます(_ _)ありがとうございました〜! (2021年4月17日 15時) (レス) id: 467d149bfa (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶 かぐや - すいません。色々と考えてみたんですが、火を使っているとのことなので...こんな感じです。 (2021年4月2日 10時) (レス) id: 57d0ae7b34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しずく | 作成日時:2021年2月15日 19時