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太宰は云われた通りにヨコハマの街を歩いていた。
一般人なら、自ら死に逝くような真似はしない。
「あぁぁ…!ヒック…!」
太「そろそろ泣き止んでよ。散歩に来た意味が無いじゃないか」
Aは寒くないように、ブランケットに包まれ太宰に抱っこされていた。
「うぅぅ…」
いつの間にか海辺に来ていたようで波打つ音がしてきた。
Aはその音を聞いて妙に落ち着いた。
太「泣き止んだ?」
「あぅあー」
太「波の音が良いの?」
「んぅ」
そうそう!と返事をするようにAは静かになった。
太宰は海に近づき、波の音を聞く。
太「海ねぇ」
「あぅ……」
Aはさっきまで泣いていたのが嘘のように眠気に襲われそのまま意識を手放した。
太「海が好きなんて、もしや入水の才能?そんな所も僕に似てるのか」
ここに森が居たら絶対違うと突っ込むだろう。
太「とりあえず、寝てくれて良かった」
太宰は腕の中で呑気に寝ているAの顔を覗き込んだ。
この世の穢れを全く知らない己の息子。
太「君は何で僕なんかの子供に生まれたの?」
天使や神は信じない。
空から見てたとかいう、世間が云うような感動話を聞きたい訳では無い。
でも何故、自分の元に生まれたのか。
太「僕は佳い親なんかじゃないのに」
太宰はそう云うと立ち上がり、家に向かって歩き出した。
______
太宰ならば己の息子を殺す事くらい容易だった。
太宰なら誰にも知られず、Aの存在を最初から無かった事にするなんて容易だった。
でも、何故それをしなかったのか。
それは、息子に対する愛が芽生えていたのかもしれない。
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ただのバカです - 早く夢主君が大人になったところみたい···。続き楽しみに待ってます。 (2023年1月10日 22時) (レス) id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
闇姫 - 安心して下さい。待ちます!楽しみしています。 (2021年10月4日 23時) (レス) id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
ルキ(プロフ) - 探偵社編に行くの楽しみに待ってます! (2021年9月26日 1時) (レス) @page12 id: 4bc5339911 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 文スト大好きさん» ありがとうございます! (2021年9月15日 10時) (レス) id: d942560228 (このIDを非表示/違反報告)
文スト大好き - はい!楽しみに待っていますね! (2021年9月14日 21時) (レス) id: eae667bbac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スワ | 作成日時:2021年6月21日 16時