花びら178枚目 ページ28
「ど、ういう…こと、ですか…!?」
世話「そうですよ!お嬢をカタギにするって事はそれなりの覚悟を示す事をさせなければ…!!」
父「…おい、おんしゃは自分の娘が娘自身の手で嫁入り前の体を傷付けろ言うてんのか?」
世話「そんなことは…!」
父親から意外な言葉が出てきて、固まるしか無い私とメンバーの皆。
抜ける側が言うはずの言葉なはずなのに、なぜ組長である父親が私にそう言ったのか、不思議でたまらない。
「父さんは、私の事駒だとしか思ってないんじゃ…」
父「…確かに、少しは思っとった…が、Aにこのグループで活動するから宿舎に住んでもええかって聞かれた時、ただ俺の言う事を聞く駒じゃなくてちゃんと娘なんやと思ったんよ…同時にお母さんの娘やなとも…お母さんも芸能界の人間じゃったからの」
父親がお母さんの事を思い出したのか少し辛そうにしてたけど、でもどこか優しく微笑んでて胸が締め付けられる。
こんな父親を…父さんを、見た事がなかったから。
葬式の時、涙を流さなかったから実はそんなに好きじゃなかったのかと思ってたけど、お世話係からの話だと裏で凄く泣いていたらしい。
父「…母さんが亡くなったあの夜、俺は隠れて泣いとったんじゃ…愛しい人を守れなくて亡くして…俺は守る為にも組の上になった言うたんに、そのくせなんも出来んかった自分を責めて…Aを守ろうとしても、何をすればええんかすらも分からん俺はAを世継ぎにして強くする事で守れるんちゃうかと思うた…じゃけど、苦しめてただけじゃったな…すまんな…A」
父さんの口から話してくれるとは思ってなくて、驚いたが同時にとても不器用な人なんだと思った。
私を守る方法が分からなくて駒のように扱ってしまった、と吐き出すように伝えてくれた父さんだが、精一杯考えて私を駒のように扱ってしまった事なのだろう。
…私の頭を撫でるその手が微かに振るえていたけど、温かかったから。
「父さん…」
父「…A、もう組には縛られんでええ…自由に生きて、幸せになりんさい…トゥミョンとして、アンチすらも包み込む優しさを忘れんようにの」
「っ!!」
世話「…こっそりお嬢の事を応援していたんですよ、組長も、俺達も」
ニコッと笑った世話係の人の顔と少し恥ずかしそうにしてる父さんの顔を交互に見る。
そして、頬に温かいものが伝った。
「ありがとう」
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秋桜(プロフ) - あんこさん» 一気に拝見して頂き、ありがとうございます!スランプで何も思いつかないなりに更新頑張りますので、引き続き応援して頂けると嬉しいです! (11月10日 11時) (レス) id: 64510454d7 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 面白すぎて一気に拝見してしまいました(笑)めちゃくちゃ好きな話なので更新楽しみにしてます♪ (10月29日 1時) (レス) id: 055ca00aac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:秋桜 | 作成日時:2022年11月13日 23時