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わがまま王子 15 ページ15

かぁぁぁぁ、っと



顔が熱くなっていくのがわかる。






「宏光様。」

「は、はいっ」





藤ヶ谷に名前を呼ばれただけで、びくっ、としてしまった。





さっき握られた右手がとくん、と脈打った。





前は、手首。

さっきは、手。





左手で右手首をぎゅ、っと握るのは

くせになりつつある。





藤ヶ谷が、この手に────





そんなことを思いながら





ふと、藤ヶ谷を見つめると





「っ……!」






まただ。

また、あの顔。







苦しそうな、切なそうな

あの表情。








「ふじ、がや……?」

「………………」









つらそう、大丈夫?

なんて。

声をかけたくても、

「素直」の欠けらも無い俺には

どうも無理で。









「……藤ヶ谷。」

「はい。宏光様。」









すっ、と

両手を藤ヶ谷の頬にそえて、








「んっ……」







キス、し返した。









「さっき藤ヶ谷は

『好きでもないやつに』って言ったよな?

残念だったな。

……これが俺の気持ちだ、」









「もう1度、命令する。」









「俺と付き合ってくれ。」









ここまで言っておきながら、顔はきっとゆでダコみたいに真っ赤、だと思う。









うぅ、恥ずかしい。







「っ……!!ふじがや……?」









目の前の綺麗な顔が、

いつもは見せないとても優しくて

色っぽい顔になって









「ふふっ。

承知いたしました。」









どくん、っと

心臓が大きく動いたのが、









「宏光様の本気のご命令、ずーっと待ってましたよ。」









藤ヶ谷の右手が、俺の顎を支える、

そんなことも

やけにリアルで。









「あ、あんまりご主人様をからかうなよっ」

「ふふっ、それはできかねます、宏光様。」









こんなふうにして告白?が成功するなんて

思ってもなかったけど

なんだか幸せだな、と

初めて思った。

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作者名:ちぇりリン | 作成日時:2017年10月15日 4時

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