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『…何でかって聞かれると…自分でも解らないの。
でも決して中川君が悪いとかじゃ無くて、』
 
 
 
 
 
中川「すみません。責めたいわけじゃないんです。
恋愛って理論じゃないですもんね。」
 
 
 
 
『ごめんね、』
 
 
 
 
中川「謝らないで下さい…余計惨めになるんで」
 
 
 
 
 
 
 
 
そんな中川君の一言によって沈黙が流れる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
中川「認めたくないけど、吉沢さんとAさんお似合いですよ」


 
『あんな完璧な人と釣り合わないよ』








 
 
 
 
中川「僕が好きなったAさんを僻まないで下さい」
 
 
 
 
 
 
『ふふ、何それ笑』
 
 
 
 
中川「真面目に言ってますよ。

仕事が好きで、後輩に優しくて、
たまに気を遣い過ぎちゃって、
美味しそうに食べる姿が堪らなく可愛い。
 
 
 
 
 
 
 
僕の好きな人は、そんな、最高に素敵な女性です。」
 
 
 
 
 
 
 
 
そう言って体を此方に向けた中川君はじっと私を見つめた。
火照った顔にとろんとした目だけど、何故か今までの中川君よりぐんと大人っぽい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『、ふふ』
 
 
 
 
恥ずかしくて、目を見れずに俯いて笑う事しか出来なかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
中川「先輩、お世話になりました」
 
 
 
 
 
 
なんて深々と頭を下げるから、
私も慌てて「こちらこそ」とお辞儀を返す。
 
私は最後まで自分の気持ちなんて上手く伝えられなかったのに、中川君は変わらず真っ直ぐに曇りのない気持ちをぶつけてくれて、
これじゃあどっちが先輩なのかもわからない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『じゃあね』
 
 
中川「はい、 …じゃあ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

差し出された手を握り返して、恐らく最後に見るであろう彼の笑顔を目に焼き付けた。

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作者名:sun. | 作成日時:2021年4月19日 17時

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