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『皇天馬は果たしてどちらを選ぶのか…?!』
『Aです』
「うぉあああああやりやがったああああ」
「あ、もしもし?ねーちゃん?俺しばらくねーちゃんの手料理が食べたいなって…」
「兄ちゃん1週間くらいそっちいるからいっぱい遊べるからな、楽しみにしとけよ」
「実家に電話するのは無しじゃないかい!?」
「くっそ監督……スパイス隠してやがる…!」
阿鼻叫喚の居間。
逃亡を図るもの数名。
根源を断とうとするもの数名。
成す術なく放心するもの数名。
現在まで無敗の面々(タクト様除く)が全員選んだのはB。
名だたる大物芸能人が確信を持って選択しているだけに一人勝ちは望み薄。
――――つまりやらかしている。
『どうです?相方、ひとりですけど』
『…ちょっとびっくりしてます』
『これは早々に普通芸能人行きですかね』
『あ、それは無いと思います』
――――え?
まさかの発言に凍りついた一同。
画面の向こうの芸能人達もザワつく。
その中で、まったく不安な顔をしないA。
しかし皆さん忘れないで欲しい。
アイツは音痴だ(失礼)。
そして生粋の天馬ファンでもある。
そんな彼女が天馬の事を疑ってかかることはないだろう。
しかし、ここまで自信ありげな顔なのは何故か。
『皇様が正解だと?』
『音楽は私てんで駄目なんで、確信持てないですけど……
――――天馬くんなんで、外さないかなって』
『BUDDYへの信頼度MAXですね!』
「実家に帰らせてもらいます」
「見捨てないで臣君!!」
「なんで誰もポンコツ天馬を教えてあげなかったの!!」
きっと大多数が「コイツ何言ってんだ」って思ってるだろう。
しかし、実はAにはもう一つ根拠があった。
『正解は――――Aです!』
「『ぇぇえええっ!?』」
テレビ画面とハモった人間は日本中に何万人いるだろうか。
皇天馬、一人勝ちである。
『皇天馬さん、Aを選んだ根拠は?』
『松岡Aさん、皇さんを疑わなかった理由は?』
松岡Aは知っていたのである。
『俺が聞いた中で一番有名な音楽に似ていたからです』
『天馬くん、一度聞いたものは結構細部まで覚えてるんです』
皇天馬がかつて演じた音楽家の息子役として、Aの父親に頼んで聞かせに連れていってもらった数々のオーケストラの演奏の違いを。
「天馬君……やっぱり一流だね」
「二世タレントも伊達じゃないな」
「てんま、すごーい!」
「見直した……」
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作者名:一華 顕音 | 作成日時:2017年11月3日 18時