チャンス ページ13
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「忍田、ちょっといいか」
翌日の学校の昼休み、控えめに声をかけてきたのは同級生の奈良坂くんだった。
一緒にいた辻くんに目配せをすれば「俺は先に食べてるから」と行ってくるように笑いかけ、購買のパンを食べ始める
奈良坂くんはそんな辻くんに「悪いな」と一言言って、教室の外へ歩く。そして廊下に出ると、申し訳なさそうな表情をした
「前に借りていた辞典の事なんだが…」
『辞典……あ、古語辞典の事かな?』
そう言うと奈良坂くんは頷く。
…確かにちょっと前に貸した覚えがあるなぁ。今は授業で使ってないから、返すのはいつでもいいよと言った覚えがある。
「……実は同じ隊の奴が、その、飲み物を溢して」
『……お、おお』
なかなか素晴らしい事をする人が居るんだね…大体予想つくけどさ。
『まぁ起こっちゃった事は仕方ないから、別にいいよ。大丈夫』
「本当にすまない。責任を持って同じ物を買わせておいた」
『わざわざ辞典を買い直してくれたの?』
「責任は俺と溢した本人…陽介にあるからな」
その後 奈良坂くんが「放課後、本部に来れるか?その時に辞典を渡したい」とお願いしてきたので、二つ返事で了解した
……もしや3馬鹿の一人に出会えるチャンスなのでは!?
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作者名:-naki- | 作成日時:2017年12月25日 18時