彼らとの毎日５日目 【短編集】【Fischer's】

☆可愛い後輩 さん【Motoki】 ページ16

ぐっと、手が捕まえられてる。

握られた手首が熱い。

心臓が、はやく波打ちだす。


どうしよう、どうしよう、どうしよう。


後ろ、見れない。


私のその手は、

今、確実に、モトキくんに掴まれてる。

いつもだったら、絶対に振り払う。


だけど、どうして？



モトキくんだと、嫌じゃないかも。



なんて思ってしまう。


｢Aさん。｣


呼ばれてる、名前。


｢こっち向いて？｣


どうにも、出来ない。

私は、火が出そうなほど熱くなった顔を、横に振った。

ダメ。きっと今、私、情けない顔。


｢いいから。｣


彼の声と同時に、ぐっと手が引かれて、

モトキくんの方を見ただけじゃなくって、

勢い余って、彼の胸の中に飛び込んでしまう。


頭が、真っ白になった。


鼓動がはやくなりすぎて、心臓が痛い。


そしたら、俯いてる私の頬に、

そっと彼の手のひらが添えられて、

モトキくんの、微笑みが、目の前に。


それから、ちょっと見上げる角度に、


そう言えば、身長、私より少し高いのかな。


なんて気づいた。



｢ちょっとは気づいてよ。俺の気持ち。｣



呟かれたその柔らかい言葉に、

心臓がきゅっと縮む。

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