毒舌女 2【中村倫也】 (ページ6)

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サヤside

ライブまで後2日

今日はドーム練習をする日

"頑張ろう"と気合を入れたのもつかぬ間

「サヤｯ!」

ホヨンが焦った様子で私を呼んだ

「どうしたの？」

リビングへ向かうとテレビを見て唖然としているソンユと、俯いているホヨン

ソンユの視線を追うと

「今、日本で人気絶頂中の中村倫也さんと二階堂ふみさんに熱愛報道が出ました」

―――――え？熱愛報道………？

「昨晩2人が仲睦まじそうにタクシーに乗り込む姿を目撃されたようです。この事についてどう思いますか？」

「最初はね、何で日本の芸能人を韓国で取り上げるのかなって思ったんだけど
中村さんはサヤちゃんと付き合ってるからね。」

「香原サヤさんは今ここ、韓国に滞在中ですよね……言い方が悪いかもしれませんがその隙を狙ったという感じがしますよね」

「サヤ……………」

ソンユの声が聞こえた気がした

でも答えようがない。声が出ない

「………ぁ……」

掠れた声が少しだけが情けなく出る

携帯の着信音がなった

私の携帯だ

画面を見ると"倫也"と表示されている

私は携帯を取ろうと手を伸ばす

だが先に携帯を取られた

ソンユによって

「＿＿＿ソンユ」

やっと声が出た

ソンユは乱暴に電話に出ると

まだあまり出来ないはずの日本語で話始めた

「もしもし……わたし、ソンユだけ…ど
もう…サヤとバイバイし……て！サヤがなくの、わたし……がゆるさ…ないからっ」

そう言いソンユは電話をきる

「＿＿＿サヤ」

ソンユが私に抱きつき優しく背中を撫でた

「ｯソンユ……ありがと。ごめんｯ……本当に……」

泣きたくないのに、迷惑かけたくないのに

涙が溢れて止まらない

私本当に馬鹿だな

ホヨンも優しく頭を撫でてくれる

「ホヨンｯ……ごめんね2人とも……」

「＿＿＿＿泣きたい時は我慢しなくて良いんだよ、私達に迷惑かけて良いんだよ？少しくらい私達にも心配させて？」

ホヨンが頭を撫でながら優しく言い放った

その言葉に私は泣き崩れた

暫くして泣きやんだ

「ありがと。私にはやっぱり2人がいなきゃダメみたい」

笑って言った

2人も微笑んでくれる

「サヤ、ホヨン行こっか！」

「うん！今日も頑張ろ！」

心に空いた穴は2人のおかげで少しだけ満たされたような気がした

2人の背中を見た

「"ありがとう"」

誰にも聞こえない小さな声で言った