工藤新一の兄弟 ２０

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『そうか！そんなに驚いてたか！！』
『やったな！』
『大成功だ！！』


そう…お酒を飲み、3人は大声を上げて笑ったらしい…。


「でも、それって手違いだったんですよね？」
「後でスタッフに確認したら戸惑ってたよ…。誰かの名前を削ったんじゃなくて、文字の間隔を直しただけだって…。

だからあいつらは最初から出栗の名前を入れるつもりはさらさらなくて…ただ嘲笑う為に出栗を初号試写に呼んだんだ！」


「それは違うわ！」


阿賀田さんの叫びを否定する女性の声が聞こえた。見ると景子さんだった。その隣にはエアマットで助かった馬山さんの姿もあった。


「その文字の間隔を直しちゃいけなかったのよ！」

「え？」

「これが映画で流れるはずだったスタッフロール！5人の名前を同時に出したのも…景子ちゃんと私が名前を変えたのも…文字の間隔をいびつにしたのも…この出栗未智男の名前を！我々の名前と同時に流す為だったんだ！！」


スマホを操作し馬山さんは阿賀田さんにその画面を見せた。確かに5人の名前の中に歪ではあるが、出栗さんの名前があった。


「本当は原作者として名前を入れたかったんだが…新たにギャラが発生するのは困るとプロデューサーに言われてこの形に…」
「暗号好きの彼なら絶対に気づいてくれると思って…実は卒制の映画もこうなってるのよ…。彼への感謝の気持ちを込めて…」
「そ、そんな…僕は何て事を…何て事を……うぁぁぁぁ！！」


馬山さん、景子さんから本当の事を聞かされ阿賀田さんは涙を流した…。

阿賀田さんにこの事を伝えなかったのは、出栗さんの親友である阿賀田さんにも一緒に驚いて欲しかったから…。

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