初恋の話 ページ6
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mt『A、事務所の中好きに見て来ていいそうよ』
『うん.......分かった』
秋の匂いが吹き始めていた夏の終わり
少し前に韓国に来たのにまたやって来たのは、
アイドルになりませんかと声を掛けられた事務所の方にお断りするためだった
まだ中学生になったばかりで親元を離れるなんて怖かったし
ダンスはすごく好きだけど人前で踊る時は心臓が破裂しちゃうんじゃないかと思うほどに緊張するし
そもそも韓国語だって勿論分からない
そんな私がアイドルだなんて
お母さんが前に会った方と韓国語で話しているのをただぼんやりと隣で聞いていたのを諦めて
事務所の中をとぼとぼと歩いているとすれ違うのは大人か同じ歳くらいの男の子
時々感じる視線も言葉が分からないから余計に怖かった
私はずっとこうだった
人見知りもするし自分の意見をはっきりと言えるお姉ちゃんと違って自分の気持ちを上手く言葉に出来ない
自分のそんな性格がすごく嫌だった
『...........?』
早く帰りたい、そんな事を考えていた時
ふいに聞こえた誰かの歌声
『きれー.........』
蜜に誘き寄せられる蝶のように
太陽を探すひまわりのように
何も考えずにただ足は求め動いてくれて
階段を降りると少しずつ大きくなっていく音色と私の鼓動
音の主は小さな部屋の向こう側にいて
幼い子どもの好奇心のままにドアにある狭いガラスから
数センチ先の知らない世界を覗くと
ㅤㅤㅤ
そこにいたのは
後に同じ場所で生きていく家族だった。
言葉が分からなくとも
歌に乗っかって飛び込んでくる感情を理解する事は出来て
澄んだ朝の海のような、陽だまりの中のそよ風のような
例えようのない優しい声で歌うその人が
とても綺麗で、
ㅤ
涙が溢れた
心臓のずっと、ずっと奥の方が揺れ動くのを感じた
誰かの心を動かす人になりたいとそう思ってしまった
夢が生まれたと同時に芽吹いた感情が
初めてでも分かっていた
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
これが恋だと
『私、ここで頑張ってみたい』
突然始まってしまった運命
ㅤㅤㅤ
変わるものもあれば変わらないものもある
1日ずつ大切なもの、大切な人が増えて詰め込まれる忙しさに翻弄される毎日を過ごす中で気付いたこと
私が消えて欲しいと願い続けている感情は
今もずっと、
胸の中に灯ったまま
まだせめて
恋を''していた''なら
よかったのに
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ヨルム(プロフ) - まるさん» こんばんは。コメントありがとうございます。楽しみだと言っていただけてお話作りも頑張れます(^^)！ (2022年4月29日 21時) (
レス) id: 4e74d3939e (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています！今後も楽しみにしています。応援しています。 (2022年4月29日 20時) (レス) @page44 id: 2a0a7c4887 (このIDを非表示/違反報告)
ヨルム(プロフ) - 雪音さん» こんばんは。私の方こそ嬉しいコメントありがとうございます！これからも主様の楽しみになれるように精進していきます（ ; ; ）！ (2022年4月29日 18時) (レス) id: 4e74d3939e (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 一番更新を楽しみにしております！言葉の選び方が素敵で、一ページ読むごとに心が満たされる気持ちになります＾＾いつも楽しませていただきありがとうございます。これからも楽しみにしています。 (2022年4月29日 16時) (レス) @page44 id: 56947806e7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ヨルムさん» いえ、お役に立てたのなら何よりです！ (2022年1月27日 0時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨルム | 作成日時：2022年1月23日 1時
