http://起立して礼 ページ39
「知ってたんだ」
包み隠す様子は見受けられない
...こちらと同様、バレたものは仕方無いスタンスか
『雨の日、お前を家に上げた時あっただろ?...その時見たんだよ、小さくなるのをな』
その後はお前の情報掻き集めで死に物狂いだったよ、なんて言葉を紡ぐ
『有名らしいな。おかげで余計な手間が省かれた。まぁどのみちあんな場面に遭遇したんだから信じざるを得ないがな』
こいつと合わせて両親も著名人
そりゃ世間に騒がれる訳だ
『つっても推理小説作家とか大女優って言われても正直よく分かってないけどな』
一人語っていればガキがそろそろと顔を上げた
「何で、Aさんはジンに協力してるの」
『協力?何の事だかさっぱりだな。私はただ自分の仕事してるだけ』
欲しい回答で無いのか必死に眉を寄せるガキ
「じゃあジンとは...どういう関係」
わざとらしく鳴る喉
影が傾き始める
『...私は贖罪誘拐事件の被害者らしいな。突如消えた殺人犯の娘、当時7歳って。まぁ拐ってくれたのは他でもないジンさんだけど』
やれやれと肩を竦めるがこれまた欲しい返事では無いとの事
『__別に私とジンさんの間柄は特別なモンじゃない
あの人の元で暮らすようになっても床で寝るスタイルは変わらなかったし、野草むしって食いたい衝動もあるし
...それにあの人の事は金ヅルとしてしか見てないから。生々しい話をすればジンさんからの報酬が一番いいんだよ』
噛み締める奥歯
握り締めた拳は鬱血していた
「どうしてそこまでして多大な金額を徴収してるんだ。Aさんの通帳にだって」
『何、お前人の通帳見た?悪趣味なガキだな』
呆れも呆れて乾いた溜め息しか出ない
『教えてやろうか』
行き場の無い感情を赤裸々にぶつける様に
そっと睫毛を伏せた
『____墓』
「は、か...?」
この時のガキの腑抜けた面といったら
内心笑ってしまった
『私の両親に殺された人達の、墓。厳密に言えば慰霊婢みたいな』
ガキが目を見開く
...何でお前が悲しそうな面下げてんだ
「そんな、為に。お金目的にジンからの依頼を受けて、人の為だけに働いてるって、事?
__そんなの、死んでるも同然だ!!!」
他人の為に、ましてや風当たりの強い女なんかに
何でそこまでして感情的になれる?
『...うん。生きてて楽しくは無いな』
お前みたいなガキは私には眩しすぎる
だから。
じゃあな、クソガキ
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紫苑(プロフ) - うぐぅ...こんな子供たちいたら胃に穴が開く...絶対...二次元だから良いけど() (2月13日 5時) (レス) @page14 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 号泣して枕びしょびしょなんですど (2月12日 1時) (レス) @page49 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
りと - おっと目頭が熱く…。白の心も黒の心も持ち、どちらの立場にも影響を受け、でも自分を突き通す夢主…カッコよすぎか??コナンとの関わりがめちゃ好き…お互いに隠し事があって、互いにそれを分かってるし何も言わないけど大切な存在となって…最高やな…お疲れ様です。 (2月2日 16時) (レス) @page50 id: 8e83563274 (このIDを非表示/違反報告)
たうふ(プロフ) - ジンと高田の最後にも納得がいきましたし、わざわざコナンの墓を立てるとかいう神エピソードを書いてくれてありがとうございます…泣きました。とても感動しました。素晴らしい作品を有難うございます!! (8月14日 1時) (レス) @page50 id: 8ce4de47eb (このIDを非表示/違反報告)
月無夜 蓮依乃(プロフ) - めっちゃいい話ですね…作ってくれてありがとうございます…個人的には最後一緒に死んでほしかったな… (2023年1月26日 2時) (レス) @page50 id: 6d50191cd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年5月12日 23時