人気者とわたし

28 ページ29

カラオケについて部屋に通された
大きい部屋があいてたみたいで、
ミラーボールまでついている
受付の女の子と山田くんが友達で、
フライドポテトをサービスしてくれるみたい
ほんと友達多いなあ、、

『よーし歌うぞー！！！』

山田くんはロンＴを腕まくりして
歌う気まんまん。

広い部屋でどこに座っていいかわからなくて、
適当に真ん中に座ったら、
裕貴くんが隣に座ってきたけど
なんか、、近い。これって友達の距離、、？

でも全然嫌じゃなくて
ドキドキ、、する。

画面をピッピッする裕貴くんの指をじーっと見てたら
画面を見たまま裕貴くんが言った

『、、、Aちゃん、嫌だったら俺離れるからね。』

言いながら、そのまま曲を選んでる

なんか、、なんか、
かっこいい、と思った
優しい、と思った

「だい、、じょうぶ、です。」

『ん。良かった』

ドキドキがうるさい、、

『よし！まずこれ！』


流れてきたイントロは、
aikoのカブトムシ


わ、これ大好きなやつ、、
え、エスパーなの？ってくらい
大好きなんだよな、この曲、、


〜♪


裕貴くんは画面を見ながらも
たまに目を閉じて、滑らかな歌声で歌った

綺麗な声、、
でも男らしさもあって
か、歌手になれるよ、、

よくわからないけど、すごく優しくて
優しくて優しくて、、、

気づいたら、ぼろぼろ泣いてた
あ、あれ？なんで

間奏で、山田くんがこっちを見た
山田くんは驚いてマイクを置いた

『え！？待って、待って待って！？』

演奏停止ボタンを連打する山田くん
めちゃくちゃに焦っている、ごめんなさい、、

音楽が止まる

『ごめん！！ごめん！！強引に連れてきてごめん！！！嫌だよね、ごめん帰ろう？』

もはや山田くんが泣きそうになってる
私の顔をのぞきこむ

「違うんです、あの、あの、なんか、感動して」

『え！？』

「こんな優しくて綺麗な歌声ってあるんだ、って、、」

『、、いや、、そんな無理しないで』

「ほんとです！ほんとにほんと、、」

伝わってほしくて、山田くんをじっと見つめた

『いや、、ありがとう』

山田くんは、うつ向いてしまった
なぜか片手で顔を覆った

「ごめんなさい、変な事、言いました」

『違う違う、、』

山田くんは、もう片方の手を振る
呆れてるのかな、変なやつだって

『、、、そんなに俺の歌、好きって思ってくれるの？』

こっちを見てくれた
顔が赤い、、？

「大好きです。」


山田くんは、
ため息をついて両手で顔を覆った

29 …裕貴→←27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す