09-変化 ページ9
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五条悟
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ケーキ屋の常連になり、漸く意中の相手と名前を呼び合う関係に至ったわけだけど。
……まさかの事実が発覚した。
Aが 既 婚 者 だった!!
信じたくない事実を知ってしまい、その後3日間は生活に身が入らなかった。
生徒からは「悟が静かすぎて気持ち悪い」とまで言われる始末。普段はうるさくて気持ち悪いって言ってくるくせに。……静かでもうるさくても気持ち悪いんじゃん、結局。何それひどくない?
僕は特殊な結婚をしたから別として、流石に人妻を寝取る趣味は毛頭ない。
これで、既婚者五条の儚い恋は終わり、ケーキ屋にも行きなくなり……。
______というわけにもいかず、Aが結婚してることを知ってから4日後、性懲りも無くケーキ屋を訪れていた。
だってAが作ったケーキ好きだし。
人妻だとわかっててもAが好きだし!
恋心は理性で止められるものではない。
店の扉を開ければ、すぐに「いらっしゃいませ、悟さん」と親しげに挨拶をしてくれる姿が目に飛び込んでくる。単純にも胸がきゅんっと鳴る。
ああ、癒される……。
無理だ、彼女のことを諦めるなんて。
奪うつもりはないから、ひっそりと想い続けるのだけは許してほしい。
「ショートケーキ1つ」
「はい、いつもありがとうございます」
会計を済ませてケーキを受け取り、定位置の窓際の席に着いてケーキを食べる。
うん、やっぱり今日も美味しい。Aが作るケーキはプロの味というよりかは、懐かしいような家庭的な味がするんだ。それが癖になる。
皿の上を空にし、トレイを返却しに行く。
「今日も美味しかったよ、ごちそうさま」
「…」
「A?」
サングラス越しにジーッと目を見つめられ、思わずドキリとする。
Aは「あの、おせっかいだったら申し訳ないんですけど」と前置きをして内緒話みたいな小声で続けた。
「なにか、ありました?」
「へ?」
「その、普段より元気がないように感じたので」
目をパチパチと瞬かせる。
…
ああ、参ったな。
好きな子が自分の些細な変化に気づいてくれるなんて、飛び跳ねたくなるくらい嬉しくなる。
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1 - ぱぅちさんの作品見たんですが今ハマってしまいました😁これからも他の作品を頑張ってください🙏👍 (11月4日 17時) (レス) @page37 id: 053afa639a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最近呪術廻戦の夢小説にハマったのですが、このお話、めっちゃ好きです!!ありがとうございました!! (6月30日 17時) (レス) @page36 id: c2b1544657 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 良い感じにお互いがすれ違っていて凄く素敵なストーリー構成でした! 恋をした所の描写を丁寧に書く事で読む内にどんどん世界観に引き込まれていきました。とても綺麗なお話をありがとうございました! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ふぅさん» 今作では五条さんの一生懸命な片思いを描けたかなと思います!笑 こちらこそ、最後までお読みくださりありがとうございました…!😭☺️ (2022年1月1日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
ふぅ(プロフ) - 完結、お疲れ様でした。ずっと柔らかい雰囲気でとても好きなお話です。次回作も楽しみにしています! (2021年12月23日 23時) (レス) @page37 id: 56676c275e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年7月31日 22時