11-タイムリミットまであと、 ページ11
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悟さんみたいにかっこよくて素敵な人でも、奥さんとうまくいかないなんて事あるんだなあと思った。意外で、でも仲間意識を持てて少し安堵した。
全てが順風満帆な夫婦生活なんてないのかもしれない。夫婦の数だけ、悩みがある。そう思えただけでも、自分を励ますことができた。
ある日、仕事が終わって家に帰るとリビングにあるテーブルの上に置き手紙とお菓子があった。
驚きで疲れなんて吹き飛び、何事？と困惑しつつもまずは手紙を手に取る。
『仙台出張のお土産。早めに食べてね。
五条悟』
「五条、悟……」
名前を呟いてみたが、全く口に馴染んでいない。
それは一度も姿を現したことのない夫の名前だ。
そう、一度も家になんて来たこと、なかったのに。
ましてやお土産をくれるなんて。
手紙を握ったまま再びテーブルに視線を落とせば、仙台名物喜久福の箱が置いてある。
どういう風の吹き回しだ？
喜び、よりも戸惑いが上回っている。
結婚して半年間、完全に他人同士として暮らしてきたのだ。この置き手紙とお土産が何を意味するのかなんて、私には理解できなかった。
今更、歩み寄ろうとしてくれてるのだろうか。
……いや、それはないな。うん。
浮かんだ可能性は一瞬で消え失せる。
きっと、顔も知らない彼の気まぐれに違いない。
そう思うことにする。
だって、この結婚にはタイムリミットがあるんだ。
その条件を突きつけてきたのは五条家の方だった。
『結婚して1年以内に子を授からなければ、速やかに離婚すること』
タイムリミットは1年間。
そしてもう半年以上が経過してしまった。
だから、今更こんな風に歩み寄ったところで大した意味なんてない。
私達はもう、離婚することがほぼ確実なのだから。
翌日、仕事に行く前に軽く手紙を書いた。
夫の気まぐれとはいえ、御礼を言わないのは普通にマナー違反だと思った。
もう一度彼がこの家に来てくれる可能性は絶望的に低いが、それでもテーブルの上に置いておく。
「……いってきます」
扉を開けると、晴れた青空の眩しさに思わず目を細めた。
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１ - ぱぅちさんの作品見たんですが今ハマってしまいました😁これからも他の作品を頑張ってください🙏👍 (11月4日 17時) (
レス) @page37 id: 053afa639a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最近呪術廻戦の夢小説にハマったのですが、このお話、めっちゃ好きです！！ありがとうございました！！ (6月30日 17時) (レス) @page36 id: c2b1544657 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 良い感じにお互いがすれ違っていて凄く素敵なストーリー構成でした! 恋をした所の描写を丁寧に書く事で読む内にどんどん世界観に引き込まれていきました。とても綺麗なお話をありがとうございました! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ふぅさん» 今作では五条さんの一生懸命な片思いを描けたかなと思います！笑 こちらこそ、最後までお読みくださりありがとうございました…！😭☺️ (2022年1月1日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
ふぅ(プロフ) - 完結、お疲れ様でした。ずっと柔らかい雰囲気でとても好きなお話です。次回作も楽しみにしています！ (2021年12月23日 23時) (レス) @page37 id: 56676c275e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2021年7月31日 22時
