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31-覚えていたのは ページ32

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家入さんに用があって医務室に行ったけど、家入さんは留守だった。代わりにいたのは五条先生だ。ソファに身を預けて、目元は隠れているけど、多分眠っているのだと思う。

……本当に寝てる、のかな?
目隠しがあるから分かりにくい。


シンとした静かさに耳を傾けると、微かに先生の寝息が聞こえた気がした。

少し近づいてみる。





「……先生?寝てる……?」





寝てるんだろうなと思いつつ話しかけてみると、先生の肩がピクッと揺れた。あ、起こしちゃったかも。

先生が私の名前を呼ぶ。

やばい起こしちゃった申し訳ない、と一旦離れようとするが、それよりも先に先生の手が伸びてきて、私の腕を引っ張った。





「え、……わ!」





体勢が崩れて先生の方に倒れ込み、強く抱き締められた。


その拍子に鼻孔をくすぐった匂いが、一瞬にして視界に映る世界を鮮やかに染め上げた。





「一晩寝たら忘れちゃえばいいのにね。僕のことが好きなんて、そんな感情」


「先生の匂いって、田舎のおばあちゃん家の匂いと似てたから好きだなって思いました」


「行くでしょ。デート!」


「僕はAが、」






流れ込んできた、確かに存在した記憶。









最後に覚えていたのは、大好きな貴方の匂いだった。










「はじめまして、僕は五条悟。よろしくね、A」





あの日から、よく見るようになった寂しげな笑顔。
あの笑顔の先にいたのは、彼が見ていたのは、

……私だ。





「ごじょー、せんせ……!」

「ん……、あれ、待って、夢じゃない!?え、これ現実?!」





記憶が戻ってくると、感情が昂り、みるみるうちに目に涙が溜まっていく。


忘れたかった、
先生が好きなんて感情は。

忘れてしまった、はずだった。



でも。





「先生、やっぱり先生が好きですっ……!」






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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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ぱぅち(プロフ) - レモン茶さん» こちらこそいつもあたたかいコメントありがとうございました!😭 レモン茶さんからコメント頂ける度に嬉しかったです!!これからも頑張ります!!💪 (2021年10月25日 22時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
レモン茶(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後まで本当に素敵なお話でした!また次回作があればまた読みたいです!ぱうちさん本当にお疲れ様でした! (2021年10月21日 20時) (レス) @page34 id: 7311114e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - さざんかさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭 こちらこそ素敵なコメント頂けて本当に嬉しいです!私にとっても忘れられないお話しになりました✨ (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ナハマヤラさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭更新が遅すぎた中でも最後までお付き合い頂いた読者様には本当に感謝でいっぱいです…!これからも頑張ります!💪 (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 白米さん» 白米さん!こちらこそ最後までお読みくださり、本当にありがとうございました!!😭 甘くない話を書いていると、読者様に楽しんでもらえてるかな…と不安になるのですが、そんな中でも白米さんにあたたかいコメントを頂けて安心してました笑ありがとうございました! (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年5月30日 21時

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