27-出会い(7) ページ27
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にしても、あの船長さんが億超えルーキーだったとは。そんな立派な海賊の船に乗ったら、命なんかいくつあっても足りないよ。私は戦闘に関しては全くの素人だし。
また来るとか言ってたけど、何度誘われても断ろう。
船長さんの素性を知り、改めてそう固く決意をした。
今日もしっかり夜まで働き、へとへとになって家に帰る。なんかもう寝たいし、お母さんのご飯だけ作ればいっかと「ただいま〜」と扉を開けた。
パタンと扉が閉まる。
小さな家に沈黙が訪れる。
……あれ、おかしいな。
私が帰ってくると母は寝てても何してても「おかえり」と返してくれるんだけど。
不審に思い「お母さん？」と辺りを見渡しながら歩いてみる。一人で出かけるはずもないしなあ。
…
すると血の気がサーッと引いていく。
「お母さん！？」
母が台所で倒れていたからだ。
玄関からは死角でわからなかった。
血相をかけて駆け寄り、母の上半身を揺さぶる。
「お母さん！！お母さん、返事して！！」
「……ッA」
母の目が弱々しく開く。
ひとまず意識が戻ってホッとする。
痩せこけた頬に手を当てる。
「大丈夫？どうしてこんな所で……」
「ご飯を作ろうと思ったんだけど、目眩がして」
「そんなのいいから！ベットに戻るよ」
立って「手貸して？」と上から手を伸ばす。母は私の手を取り立とうとする……が。糸が切れたように力が抜けてその場に座り込む。
え？と何か起こったのか分からず、呆然とする。
母も驚きの表情を浮かべ、そして瞬時に自分の体の状態を悟って力無く笑みを浮かべた。
「……ごめんね、もうそろそろダメみたい」
母は立つことさえできなくなっていた。
息が止まるかと思った。
世界が絶望の黒に染まっていく。
夜の闇よりも格段に深く。
母をおんぶしてベットに寝かせてから、私は家を飛び出した。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
このままじゃお母さんが、……！
向かったのは隣のさらに隣町の島で一番評判の良い医者のところ。緊急で話を通してもらった。
お願いします、母を助けてください
お金なら何年かかっても必ず払います
だから、どうかどうか、母を……
ひたすら頭を下げた。
泣きながらお願いしますと声が枯れるほど叫んだ。
でも医者はかぶりを振るだけだった。
「この島では彼女の病気を治せないんだ、ごめんね」と泣きじゃくる私の頭を撫でながら自分も目に涙を溜めて言った。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
