26-出会い(6) ページ26
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割れた皿の片付けが終わったのを見計らい、船長さんはテーブルにお代を置き、刀を手にして腰を上げた。やっと帰るのか、そう思い密かに安堵する。
と、カウンター越しに私の手を引いた。
いきなりのことに態勢が前に崩れる。
空いてる方の手をカウンターに着き、なんとか姿勢を保つ。
耳に船長さんの形の良い唇が寄せられる。
「また来る____A」
「〜ッ！」
直接かかる吐息と、魅惑の低音ボイスに
声にならない叫びが溢れて。
するりと手が離される。
顔を真っ赤にする純粋な私の反応に、
彼は面白おかしそうに不敵な笑みを浮かべた。
「もう、……来ないでくださいっ！！」
必死に反論するも、シャチさんは「可愛いねえ」とけらけら笑ってるし、船長さんはあの表情のままお店を出て行った。
「なんなの、あの人達……」
お客の波が落ち着いたところで、休憩がてらカウンター席に突っ伏し、水のコップを置いてくれた店主に愚痴る。
水を息継ぎ無しに全部飲み干す。飲まなきゃやってられない。(ただの水だけど)
「随分気に入られてんねぇ」
「ほんとに迷惑ですよ、誰が海賊なんか……」
「でも、まあ、あの船長は相当な海賊だからね。乗らないのが得策かもね」
「？結構な札付きなんですか？」
「……アンタ、最近の新聞読んで無いのかい？」
「へへ、読んでる暇なくて」
呆れたように溜息を吐き、ちょっと待ってなと店主は奥の部屋に入る。
私は世の中のことにはとことん疎い。新聞なんかゆっくり読む時間がないし、そもそも買う機会も減っている。
あの船長さんは見た目は怖いけど、そんなに悪い人じゃない……とは思う。だって一般人を無闇に襲ったりしてきてないから。
だからどんな海賊なんだろ、と気になり始めたところで店主が一枚の紙切れを手に戻ってきた。
ほらこれ、とそれをカウンターに広げる。
どうやらあの船長さんの手配書のようだ。
へー……とそれを覗き込んで見れば。
「に、に、2億！？」
「頻繁に新聞を騒がせてる。話題のルーキーだよ」
まさかの金額に手配書を持って目を見開く。
「『死の外科医』トラファルガー・ロー。一応医者らしいよ」
「死の……外科医……」
それなら母の病気を治してくれるだろうか、なんて浮かんだ淡い期待は、すぐに頭の中から追い出す。
ダメ、海賊なんか信用するもんじゃないんだから。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
