6つのあるばむ そのさん

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頬に涙が伝って

こんなのずるいって知ってるのに

抵抗もしないで、准くんに抱きついた


准くんはあったかくて、男らしくてたくましい



やだよ、こんなの

准くんに笑ってほしい

どんな准くんだって嫌いになんてなれないから

だから、お願いです







「…准くん、」

岡「……なに」

「准くんのこと、…好きです」

岡「…うそだ」

「ファンとしてずっと、好きです」

岡「……なに、それ」

「准く、っ」

岡「好きになってよ、俺のこと、アイドルじゃない俺を好きになって」







腕の力が強くなって

肩に准くんの息がかかる

好きなのに、

こんなにも好きなのに准くんの気持ちに応えられない







「じゅんくん、」

岡「…だめ、なのかな」

「わたし…っ」

岡「はあー…」

「…っ……」

岡「ごめん。こんなの困るね、痛いね」

「准くん…」

岡「もし、ここで出会ってなかったらチャンスあった？」

「…」

岡「ん。ごめん。ごめんごめん。……もう少しだけ、このままでもいい？」

「は、い…」







ぎゅって抱きしめられて

肩に冷たい雫が落ちた気がした


痛い、痛いよ、

胸が張り裂けてしまいそう



絶対に許されないけど

准くんに望む答えを伝えたら笑ってくれるのかな







岡「……俺いま絶対やばい顔してるなあ」

「見たいです」

岡「ブッサイクかもよ？」

「それでも、見たいです」

岡「そしたら俺のこと好きになってくれる？」

「…じゅんくん」

岡「はは、気にしすぎ」







それからピアノを時々弾きながら

色んなことを話した



"少しでいいから敬語なしで話して"って言われて

じゃあ関西弁で話してくれたらいいですよって返して

照れながら話したり

好きな食べ物とか、好きな音とか景色とか

仲良くなれない食べ物の話とか


整いすぎてこわい顔が笑うと可愛くなったり

手を叩く時にすんごく幼く見えたり

身振り手振りしながら話すのにキュンとしたり



きっと もう、こんな時間ないだろうなあって

噛み締めながら忘れないように記憶に刻みつけた









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