picture140 ページ43
.
急に指が止まって
聞き惚れていた音も止んでしまった
もう少し聞いていたかったなあ
岡「Aはさ、寂しくないの?」
「…え?」
岡「健くんに聞いた、誰のことも選ばないって」
「……それは、」
岡「俺は寂しいよ。もうこうして会ったり話したりできなくなるんでしょ?」
「わたしも、寂しいけど、」
岡「誰かを選ぶって他の誰かを捨てることじゃないよ、ちゃんと答えを出すことが他の誰かを救うこともあると思うよ」
「…准くん」
岡「今こうやって言う俺は卑怯かな?」
ずっとピアノを見ていたのに
急にこちらを向くからどうしたらいいか分からなくなる
泣き出しそうに笑うのはずるいよ
…でも
お芝居が上手な准くんだから
本当はもっと卑怯のことしようとしたらできるんでしょう?
それをしない准くんは哀しくなるくらい 優しいね
「本当に 卑怯なのは私かも 」
岡「ふはっ。いいよ、卑怯で、ずるくてかわいくて、それでも好きだから。仕方ないよねえ」
「…っ」
岡「ほら、卑怯でしょ? Aが困るの分かってて言ってるから」
「…准くんは優しいです」
岡「やめてよ。そんなことないから」
「ごめんなさい、」
岡「…… あー。もう、お願いだから、そんな顔されたら 壊したくなる」
「、准く…っ」
ゆっくり近づいてくる准くんの表情が分からなくて
だいすきな准くんがこわくて
なんでか分からないけど泣きたくなって
気がついたら壁まで追いやられてた
顔の真横を通って壁についた准くんの腕は
きっと私なんかの力じゃビクともしない
やっと見えた准くんの瞳には光が見えなかった
「…や、だ」
やだ、やだやだ
こんなのやだ
准くんがこわい
だいすきなのに、こわくて、
岡「助けてって言わなくていいの? 嫌なら叫ばないとどうなっても文句言えないよ?」
「…じゅん、くん、」
岡「泣かせたくなんてないのに、」
准くんは何かを躊躇うかのように
ゆっくりと口づけした
力強い腕やたくましい胸板には似合わない優しい口づけだった
頭の中がそのことでいっぱいで
パニックで、大きな鐘がガンガン鳴らされてるみたい
うるさくって苦しくって何も考えられないの
どうしたら准くんは笑ってくれる?
私には分からない
分からないから、
分からないけど、
准くんに笑っていてほしい
.
336人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちはるん(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!この作品に投票するためにログインしました笑 激甘希望です…^^ (2017年12月2日 22時) (レス) id: 4f039b7d80 (このIDを非表示/違反報告)
にらこ - お久しぶりでございます!私も甘々希望です!激甘で!切なさもチョイ足しで… (2017年11月30日 2時) (レス) id: 578dda6f34 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - お久しぶりです!私も激甘希望です!よろしくお願いします! (2017年11月27日 14時) (レス) id: 95000278f7 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 甘々でお願いします( 〃▽〃) 続き楽しみにしてますね (2017年11月26日 10時) (レス) id: 6ef130c577 (このIDを非表示/違反報告)
まっき(プロフ) - 激甘希望です!切なさもチョイ足しで(  ̄▽ ̄)楽しみに待ってますね!! (2017年11月26日 6時) (レス) id: eb0dcb3743 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:泣き虫りんご | 作成日時:2017年7月10日 20時