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｢それが元気のなかった理由ですか?｣
｢うん……｣
どういうわけかめったに使われない談話室のソファーに腰かけ､話を聞き終えた構成員たち｡……区別がつかないのでひとまず構成員壱､構成員弐としておこう｡
さてAはといえばいまだしょげたまま､2人にもらったお菓子をもそもそと食べている｡
｢Aびっくりしちゃって｡その後の修行､全然うまくいかなかったの｣
｢それは災難でしたね……｣
Aはうつむいてこぶしをキュッと握った｡構成員たちが何も言えずに顔を見合せていると､Aがぼそぼそと話し出した｡
｢……分かってたよ｡いつかバジル先生が帰っちゃうって｡最近お仕事の電話多かったし｡ただ……こんなに早いって思ってなくて｡心の準備ができてなかった｣
だめだめじゃん､A｡
彼女の呟きに壱がそんなことありません!と言おうとして､弐に止められる｡何故と聞こうとしたが､弐に神妙な顔でゆっくりと横に首を振られて黙るしかなかった｡
彼女が今､求めている言葉は慰めじゃない｡
Aの性格を考えれば分かることだった｡
｢……お嬢様､これは俺の独り言だと思って聞いてください｣
Aが顔を上げてみれば､いつになく真剣な面持ちの弐が目に入る｡いつもAを甘やかしまくっている彼のそんな表情を､彼女は一度たりとも見たことがなかった｡
｢お嬢様の言う通り､あなたはだめだめだと思います｣
｢おいっお前何言って｣
壱が突如Aのことをけなし始めた弐の口を塞ごうとするも､逆に壱の方が口を塞がれていた｡
｢ちょっとした想定外のことで自分をうまくコントロールできないのは､いざという時に弱点になります｡そこに漬け込まれたり狙いをつけられたりしたとしても､文句の言いようがありません｡自分を制御できるようになるべきです｣
正論をかましてくる弐に､Aはグッと唇を噛む｡図星だったらしい｡
それから､と続けようとする弐の手に壱が思いきり噛みついた｡
すなわち｡
｢いってええ!?何すんだテメエ!｣
｢ああ!?お嬢様のことそんだけ侮辱しといて無傷でいられると思ってんのかこの野郎!｣
喧嘩をおっぱじめようとする2人にアワアワするA｡リングにまで相談する｡
放っておけ､とだけ言われていよいよ為す術がなくなってしまった｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年2月15日 16時
