アリス、しょげる 01 ページ8
｢あ!お嬢様だ｣
｢本当だ｡……あれ､なんか元気ない?｣
｢どうしたんだろうな｣
廊下でAを目撃した構成員の2人組は､不思議そうに首をかしげる｡
いつも明るい彼女が1人､とぼとぼと廊下を歩いていたのだ｡まるで暗いオーラをまとっているようである｡
何かあったのかと思い､2人はAに近づいて声をかけることにした｡
｢お嬢様｣
｢わあっ!?｣
驚かせるつもりはちっともなかったのだが､ビクリと肩を跳ねさせたA｡慌てて謝ると彼女は気にしないで､と言ってくれた｡しかしやはりどことなく元気がないように見えた｡
｢お嬢様､何かあったんですか?｣
｢え?何で?｣
｢いえ､あくまで気のせいなんですが……なんだか沈んでいるように見えたものですから｣
それを聞いてAは慌てたように笑ってみせるが､貼りつけであることはバレバレだ｡
1人は困ったように眉を下げたが､もう一方の構成員はハッとしたように彼女に詰め寄った｡
｢まさか､誰かに嫌なことでもされたんじゃないですか!?｣
｢いやちが｣
｢そんなっ!?誰です誰にやられたんです!｣
｢あの｣
｢教えてくださいお嬢様!なんなら命じてくださればそいつのことをボコボコにっ｣
｢ストップストップ!｣
弁明を聞こうとせず勘違いを加速させていく2人を止めるべく､Aは1つ手を打って大声を出した｡思わず黙ってしまう構成員コンビ｡
｢聞いて!Aは何もされてないし､誰かをボコボコにすることもないの!分かった!?｣
勢いよく叫ばれて2人はコクコクと頷いて見せた｡安心したようにAが息をつく｡
｢でもそれなら何故､元気がなさそうだったのですか?｣
｢そうですよ｡何かあったんですよね?｣
議論がふりだしに戻り､2人はAに再び尋ねる｡観念したように彼女は訳を話し始めた｡
｢あのね……｣
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年2月15日 16時
