アリス、泊まる ページ24
何事もなく無事ヴァリアー邸に到着したスクアーロとA｡
着いた途端に早々と車を降りたAに､スクアーロは笑いをこらえるのに必死だった｡彼女にとって高級車は相当居心地の悪いものだったらしい｡
リュックを背負ってAはてくてくと先行くスクアーロの後を追う｡
｢う゛ぉおい､帰ったぞぉ!｣
玄関を開け彼が叫ぶも誰も出迎えてくれる気配がない｡
一度しか来たことのないヴァリアー邸にいまだ慣れないようで､Aがキョロキョロと見回していた中｡
｢アーリス｣
耳元でささやくようにかつて名乗っていた名を呼ばれた｡
肩を盛大に跳ねさせた直後､Aはバッとその場から離れた｡そして後ろにいた人物を見る｡
｢あれっベルさん?｣
｢あったり〜｡へえ､なかなかやるじゃん｡まあまあいい反応速度だったぜ｣
咄嗟にかまえた十手を下ろしながら､Aは驚いたような声を上げた｡
気配を消して背後から声をかけてきたのは､業界でプリンス･ザ･リッパーと恐れられているベルフェゴール｡Aはまったく彼の気配に気づくことができなかった｡さすが天才と言うべきか｡
｢もー､おどかさないでよー!っていうかAはアリスじゃないって何度も｣
｢はいはい､もうけっこー耳にたこー｣
｢ちょ､やめっ｣
文句を言いかけた彼女の頬をムニムニと触り出すベルフェゴール｡抗議しようとするも､うまくしゃべれず阻止されてしまう｡とうとうAは諦めたように黙りこんだ｡
｢う゛ぉおい､やめてやれぇ｡嫌がってんぞ｣
｢えー､だってめっちゃ触り心地いいんだぜ?マーモン金取るしさ｡スクアーロもやってみたら分かるって!｣
ほら､と一旦手を離してスクアーロの前まで連れていく｡たしかにAのもちふわほっぺの誘惑は抗いがたいものだった｡
誘われるままそっと手を伸ばしかけたところで｡
｢ちょっともう!なあに､騒がしくして､ってまあAちゃん!来てたのね!｣
｢ルッス姐!｣
3人のやりとりを聞きつけて､ルッスーリアが玄関までやってきた｡
スクアーロは伸ばしかけた手をサッと引く｡触れなくて残念という気持ちと触れているところを見られなくてよかったという気持ちが入り交じって､スクアーロの表情は自然と苦くなっていた｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年2月15日 16時
