アリス、可愛がる 01 ページ2
｢……はい……はい､分かりました｡通してください｣
ツナはそう言って､受話器を元の場所へそっと戻した｡手を組んでふう､と小さく息をつく｡
電話の内容､それはアポなしの来客がやってきたというものだった｡もはや慣れきってはいるが､やはり先に言っておいてほしいものだ｡
そう考えているとコンコンコン､と軽やかなノックの音が彼の耳まで届いた｡
おそらく､というか確実にあの人だろう｡ツナはため息もほどほどに､向こう側へどうぞと声をかけた｡
｢よお､ツナ!元気か?｣
爽やかに登場したどこぞのファミリーのボスに､ツナはこらえていたため息を結局吐き出してしまった｡
｢ディーノさん……ええ､おかげ様で｡今日はどんなご用で?｣
まあ､大方予想はつくけど｡
ディーノはキョロキョロと部屋を見回した後､ニカッと笑って言った｡
｢ちょっとAに用があってさ!……いないのか?｣
突然うってかわったようにシュンとするディーノに､ツナはグッと言葉を詰まらせた｡なんだこの子犬みたいに無垢な瞳は､本当にこの人三十代なのか?
｢今日も修行か……毎日熱心だな……｣
｢いや､あのAは｣
どこか哀愁が漂うように話すディーノに､ツナがワタワタしていたところ｡
｢あれ?ディーノさんだー!｣
そこへ救世主が現れた｡
ディーノはみるみる表情を明るくさせ､嬉しそうに笑う｡ツナはほっと胸を撫で下ろした｡
｢久しぶりだな､A｡髪切ったんだな､似合ってるぜ!｣
｢本当?ありがとう!今日はどうしたの?｣
Aも楽しそうにディーノに話しかけている｡背景とかおのおのが置かれている状況とか､余計なことを考えなければ平和そのものだ｡考えなければ､の話だけど｡
｢今日はな､Aに渡したいものがあってな｣
｢Aに!?いいの?｣
｢当たり前だろ､そのために来たんだから｣
それを聞いた瞬間､Aはキラキラと目を輝かせた｡さすがに顔に出すぎだろう｡そんなところも可愛らしいが｡
ディーノも彼女の笑顔に癒されながらも､後ろにいたロマーリオに声をかけた｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年2月15日 16時
