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……しまった、完全に油断した｡
そんな後悔が頭の中をぐるぐる回るが、それは何の意味もなさない｡
後ろには壁、目の前には狂気じみた笑みを貼りつけている少年｡壁に縫いつけるように腕を拘束されて、逃げることは不可能｡いわゆる壁ドンってやつである｡
Aは恐怖以外感じることができないでいた｡黙っていればイケメンの部類に入るくらいハットは顔立ちが整っている、状況や立場が違えばコロッと落ちる女性も少なくなかっただろうに｡だいぶ使いどころを間違えている｡
｢きゃっ、だって｡ふふふ、可愛いねえ｡こんなに小さいのに僕に勇敢に立ち向かってくるなんて健気にもほどがあるよ、アリス?ほーら、腕なんかこんなに細い｡僕ならこれくらい、いとも簡単にへし折れちゃうのにね｣
そう言うと、ハットはAの手首を掴む手にぐっと力をこめる｡力をこめたといっても少しだけ、しかしAは怖くなって瞳に涙をじわりじわりとにじませていった｡
その様子を見て再び可愛い、と彼は呟いた｡まるで熱に浮かされているみたいで、Aの中の恐怖メーターはどんどん満たされていった｡
｢ああ、そうだ｡お茶会に誘いにきたんだったね｡特別に今日はアリスの席も用意してあるんだよ｡君が望むのなら三月うさぎと眠りねずみを追い出してあげる｡だから僕と一緒においで?｣
優しく囁きかけるハットに、Aは首を横に振る｡今にも涙がこぼれ落ちそうなのに、彼女は必死に訴えた｡
｢アリス、て、呼ばない、で｣
キョトンとした後、ハットは笑い出した｡なんだかデジャブだ｡
｢何で、笑うの｣
｢だってアリスはアリスだろう?なのに呼ばないでなんて……おかしいだろう?｣
｢A、アリスじゃ｣
｢じゃあ何でまだ髪を伸ばしてるの?アリスらしさを失わないためだよね｡それとも、ハートの女王に切るなって言われたこと、まだ引きずっているの?｣
息が詰まって、Aは聞き返すことすらできなかった｡
何でそんな昔の話、まだ覚えてるの?
｢……ねえ、アリス｡自分でも分かってるんでしょ｡結局ハートの女王からは逃げられないし、自分がアリスでしかいられないことくらい｣
黙りこんだAを見て、ハットは少しだけ寂しそうに目を細めた｡その姿はまるで自分と彼女を重ねているようで｡
｢アリス、一緒に不思議の国に帰ろう?絶対に悪いようにはしないから｡ね?｣
ハットはAにそう囁きかけると、片手を離し彼女の頭へと伸ばした｡
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futureblue�鏡�(プロフ) - ちささん» 初めまして｡コメントありがとうございます!ツナにはかなりお世話になっています,ツッコミにも親バカにも回ってくれるので｡素敵と言っていただけて嬉しい限りです｡できるだけ早いペースでの更新頑張ります!ちさ様もお身体にはお気をつけてくださいね｡ (2019年12月17日 19時) (
レス) id: 495c86097b (このIDを非表示/違反報告)
futureblue�鏡�(プロフ) - まくすうぇるさん» 初めまして｡コメントありがとうございます!そうですね,大人びているところがあるとはいえまだ8歳児なのでそんたくできないお年頃です(笑)多分順位としたらツナ>>>ヒバード>骸ってところですかね｡ (2019年12月17日 19時) (レス) id: 495c86097b (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。作中の綱吉と同じ気持ちで毎回読ませて頂いております← すごく素敵な作品でもう更新が楽しみで楽しみで仕方がないです！お体に気を付けて無理せず更新頑張ってください！ (2019年12月16日 23時) (レス) id: 6d1f2ce8ab (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 主人公の関心 骸＜ヒバード ぷぷっ・・・www (2019年12月16日 19時) (レス) id: 34699431ad (このIDを非表示/違反報告)
futureblue�鏡�(プロフ) - 成田優吾さん» 初めまして｡コメントありがとうございます!何回も読んでいただけてるなんて嬉しさの極みです｡なかなか読者の方の声を聞くことができないので、面白いと言ってもらえて幸せです｡早いペースで更新できるよう頑張ります!成田優吾様もお身体にはお気をつけてくださいね｡ (2019年12月9日 18時) (レス) id: 495c86097b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年11月22日 16時
