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男はAに拳銃を突きつけたまま、話し始めた｡
彼女はじっと男を見つめていた｡
｢あのSDカードにはクーデターの計画が記されていた｡俺の属するタリアテッレファミリーとボンゴレファミリーをつぶすためだ｡最近のマフィアはすっかり生ぬるくなっちまった｡数年前ボンゴレが代替わりするっていうから期待してたが……今まで以上に平和になった｣
男はAに口をはさむことを許さず、ひたすら話し続ける｡
｢俺はもう我慢ならなくなって、この現状を変えることを決めたんだ｡そのためにはボンゴレをぶっつぶす必要があった｡だがタリアテッレはボンゴレと信頼関係を築いてる｡だからまずタリアテッレを壊滅させなきゃならねえ｡俺らは入念に策を練った｡それでもうすぐ実行ってなって｣
ぐっと額に押しあてられている拳銃に力が入ったのが分かった｡男の表情は憎悪で塗り固められていた｡
｢お前の父親にバレた｡アイツはボスのことを敬愛していたからな、SDカードを盗んで逃げたんだ｣
正直に言おう｡
Aにはよく理解できていなかった｡彼女にとって男の言葉はあまりにも難解すぎる｡
しかし男はAが理解しているものだと思って話を進めた｡
｢さすがにあの時は焦ったな｡計画は全部頭の中にあったが、SDカードがボスやボンゴレの手に渡れば台無しになっちまうだろ?俺たちはお前の父親を探し出して返すように言った｡だけどアイツは応えようとしなかった｡だから殺した｡お前の母親もその時殺した｡それで証拠ごと燃やした……はずだった｡だが死に際に言ったあの女の言葉がやけに離れねえ｡色んな奴にアイツらの身内や交友関係を聞いて回った｡そんで｣
男は拳銃でAの額をコツコツと軽く叩いた｡
｢お前を見つけたんだよ、アリス｣
Aは再び男をにらみつけていた｡親の仇が目の前にいるのだ、手足が出る状態なら一発殴っていただろう｡
Aはしぼり出すように言った｡
｢……最低ね、アンタ｣
ガタンとイスが蹴倒された｡男の逆鱗に触れたらしい｡
頭を強く打たなかったことが幸いだったが、防御ができず打ちつけてしまった体は痛い痛いと悲鳴を上げた｡
それでもAは負けじと言う｡
｢ボンゴレに、ツナさんたちに手を出したら許さないから｣
｢よく言うぜ、これから死ぬくせに｣
じゃあな｡
男はそう言うと、拳銃の安全装置を外した｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年5月27日 19時
