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髪の長いその男性はかっこいい顔立ちをしている｡温厚そうで、見た感じ悪い人とは思えない｡
ふとAは以前獄寺に言われたことを思い出した｡
｢おや、イタリア語は通じませんか｡ここで何をしているんですかと聞いて｣
男性が言い終わるより早くAはUターンして走り出した｡
彼はこう教えてくれたのだ｡
『知らない奴に声をかけられたらすぐ逃げろ』
Aは男性のことを知らなかった｡もしかしたらツナのお客さんかもしれないともAは考えたが、それならあんな暗がりにいないでツナのところへ向かうはずだ｡
Aはがむしゃらに走った｡後ろから例の男性が追いかけてくるのが分かる｡
ツナさんの仕事部屋に行けなくても、とにかく守護者の誰かに会えれば｡
そう思ってどこか分からない場所を駆け回る｡
ところがかなり走ったはずなのに、同じ場所をめぐっている気がするのだ｡誰にも会わないというのもおかしい｡
｢なん、でっ｣
もうすっかり息が上がっていた｡たいして体力なんかないし、ましてやまだAは子供｡スタミナ切れ寸前だった｡
Aはあの男性に捕まったらだめだという恐怖で疲れた足を懸命に動かしていた｡
｢あっ｣
足元を注意していなかったために、Aは何かにつまづいて転んでしまう｡
すぐに立ち上がることなど疲れきったAには到底不可能であった｡
男性が近づいてくるのは分かったが、Aにはどうしようもなかった｡
ノック音でツナは睨んでいた書類から顔を上げた｡
どうぞ、と返事すると、不服そうな表情で霧の守護者六道骸が入ってきた｡めちゃくちゃ泣いている子供を脇に抱えて｡
｢沢田綱吉、これは一体｣
｢A!?｣
どういうことですか、と骸が尋ねる前にツナが叫んだ｡
は?と思い顔を覆って泣いている子供を見ると、その子供は手をどけてぐしゃぐしゃになった顔をあらわにした｡
｢ツナしゃぁぁあんっ!｣
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年5月27日 19時
