アリス、目覚める 01 ページ6
｢ん……｣
目をこすってAは起き上がった｡
ここはどこだろう、と寝ぼけたままキョロキョロと辺りを見回した｡
｢起きた?おはよう｣
ビクッと体を震わせて、Aは声のした方を見る｡
見覚えがあるようなないような、やっぱりあるような男性が立派な椅子に座ってAを見ていた｡
｢えっと……｣
｢大丈夫?何があったか覚えてないかな｣
Aは記憶を呼び起こそうと頭を働かせた｡
ママに路地裏に行けって言われて、路地裏に行って、お兄さん達に話しかけて、ここまで連れてこられて……｡
思い出したという表情を浮かべたAをツナは微笑ましそうに見つめた｡
Aは無意識に首もとに手を寄せ、何かを掴もうとしたがそこには何もない｡
あれ、どうして?
ママとパパからもらった、私のペンダントは?
｢もしかして、これを探してる?｣
ツナが差し出した手の中には、Aの探し物であるペンダントが乗っていた｡
｢それ!｣
｢はい｡ごめんね、寝ている時に苦しそうだったから外しちゃったんだ｣
ツナはAの小さな手にそっとペンダントを乗せた｡
他人から見たらおもちゃでしかないかもしれないが、Aにとっては大切な宝物だった｡
Aはそんな宝物を身につけると、警戒しながら尋ねた｡
｢お兄さん、Aをどうするの｣
ツナは黙ってAを見ていた｡
何も言わないツナに焦れたのか、Aは話し続ける｡
｢路地裏には危ない人が集まってるんでしょ｡昔パパが言ってたよ｡だから近づいちゃだめって｡Aのお家は燃えてなくなったの｡Aの帰るところはない｡お兄さんにとって、Aは邪魔だよね｡Aのこと、殺すの?｣
｢ちょっと待ってくれる?｣
ツナが耐えきれずに待ったをかけた｡
Aは真剣だった｡
｢色々聞きたいことはあるけど、取りあえず質問するよ｡いい? ｣
Aはツナの問いかけにコクンと頷いた｡
｢Aは何歳?｣
｢7歳｡ちょっと前に誕生日だった｣
7歳にしては随分としっかりしているなあ、とツナは妙に感心してしまった｡
｢家が、その、燃えたっていうのは?｣
｢本当のことだよ｡ここに来る途中にお家の前通ったけど、真っ黒になってなくなってたの｡一緒にいたお兄さんが燃えちゃったって言ってた｣
｢じゃあ、Aのお母さんは……｣
｢うん｣
Aは下を向いて呟いた｡
｢多分ママもパパも、燃えちゃったと思う｣
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年5月27日 19時
