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一方その頃、拷問部屋ーー。
沖「おいA。立て、時間だ。」
処刑の時間が刻一刻と迫っている。
Aの処刑に迎えにきたのは沖田だった。
「…。」
しかしその場に座り込み、土方の制服を被ったままピクリとも動こうとしない。
沖「(襲われそうになったってのは本当だったんだな…。)A、聞こえねぇのかい?…??おい!A!!」
あまりにも動かないAに大声を張り上げるが全く反応がない。
死んだのか?と疑い目の前にまで来て顔を持ち上げれば"ビクッ"と反応した。
沖「なんでい。生きてんじゃねぇか。立て、A。近藤さんのどこまで行くぞ。」
「カタカタカタ)…誰だ?」
沖「!!(コイツ…震えてんのか?)…何ふざけた事言ってんでい。いいから……!お前、まさか見えてねぇのか?」
度重なる暴力と衰弱でAは今全く見えていない。
それどころか音を拾うこともできなくなっていた。
沖「っ。ちっ、しょうがねぇ俺が連れてってやるよ。感謝しろよ。」
そう言いAを担げば盛大に体が跳ねる。
「!?!なんだ!?どこ行くつもりだ!!答えろ!!」
自分の耳が聞こえていない事も気づいていない。
襲われた事もあり恐怖心を抱いた。
沖「暴れんじゃねぇA!!」
バタバタと動かした足が沖田を蹴飛ばす。
しかしすぐに力尽きグッタリと項垂れた。
「…??もしかして…総悟?」
背中に頭をつけ覚えのあるような体躯に担ぎあげた人物を当てる。
沖「なんでい。分かんのか。」
「(あ、これ総悟だ…。ていうことは私の処刑が決まったのか…。)」
相手が沖田だと分かるやいなや、先程までの動揺が嘘のように大人しくなる。
沖「暴れねぇのか?」
しかしその問いもAには聞こえるはずもなかった。
「……。(あぁ、最後にもう1度、蛮兄に抱きしめて欲しかったなぁ…)」
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作者名:たまごやき | 作成日時:2021年10月7日 13時