美しく舞う桜 (ページ11)

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肉体を持つということページ11

桜姫side

沖田様の様子を見ている大和守様。私は物陰から見守ることにした。

安定「…沖田君」

懐から薬を取り出す大和守様。

安定「…これを使えば…沖田君は生きることができる…生きることが…」

息が荒くなる大和守様

黒猫が大きくなり、沖田様と大和守安定を飲み込もうとする。

「(…大和守様なら大丈夫。それと、あの黒猫は何者？)」

安定「駄目だ！駄目だ！駄目だ！！駄目だ！！駄目だ！！！駄目だ！！！！」

只々叫ぶ大和守様。大和守様が叫んだ途端に黒猫はいなくなってしまった。

安定「…沖田君…僕はずっと考えていたんだ…もし君が病気にならなかったら…長生きすることができたら…歴史はどうなっていたんだろうって…ひょっとしたら新撰組が負けることもなくて…刀の時代が終わることもなかったんじゃないかって…おかしいだろ？そんなことまで考えたんだ。」

大和守様は力なく笑みを浮かべる。もう話しかけても大丈夫そうですね。

「大和守様。」

安定「…桜さん。僕、聞いてほしいことがあるんだ。」

「何でしょう？」

安定「…肉体を持つって辛いね…あいつが僕を沖田君の元へ行かせたがらなかったのは…僕にまでこんな思いをさせたくなかったからなんだね」

「大和守様にとって、良いご経験になったのでは？」

安定「うん。…歴史を変えちゃいけない本当の理由がわかった気がするよ…ごめんね沖田君…僕は君を否定しようとしていたのかもしれない。」

大和守様は薬を懐にしまう。

安定「でも…もう迷わない」

私は大和守様の言葉に頷いた。

「(大和守様の顔つきが出陣前より良くなった気がいたしますね…主様が考えていた以上の結果となりそうです。)」

安定「…君の持ち刀でよかった…君のおかげで…アイツと出会えたんだ…ありがとう」

深々と頭を下げる大和守様

そこに時間遡行軍が現れる

「！？」

安定「…来たな」

時間遡行軍がじわりじわりと大和守安定を取り囲む

安定「…沖田君には指一本触れさせない…行くぞ！オラア！」

大和守様は沖田様から教わった剣技を繰り出す。

私も沖田様の剣技で戦った。

安定「沖田君…」

近藤様がやってきたので私たちは急いで隠れる。

沖田を抱き起す近藤

近藤「…やはり労咳か。」

沖田「…近藤さん…僕にかまわず…」

近藤「馬鹿な事を言うな」

沖田「…近藤さん」

近藤が沖田を抱えていなくなる。

隠れていた大和守安定と桜姫が現れて二人が去っていった方を見つめた。