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甘ったるい宝石 桜紅さんリク メローネの甘 ページ32

アジトのバルコニーで、眩しすぎる真上の太陽から目を逸らす。

日向ぼっこには少々暑すぎる昼だ。

もう中に入ろうか、と思ったとき。


「やぁA。暑くないかい?」

「メローネ」


ガラス戸を開けてメローネがバルコニーへ出てきた。

両手には涼しげなグラス。

中身は氷の浮かぶ何とも美味しそうなグリーン。


「ほら」

「グラッツェ」


メロンソーダ。

受け取って早速喉へ流し込むと、なんとも素敵な清涼感。


「おーいしーい!」

「良かった。不思議だよな、こんな毒々しい色で甘ったるい液体が美味いなんてさ」


彼も一口飲んで、唇を舌先で舐める。

確かに不思議だ。

甘ったるいのは、炭酸の刺激で中和できるから気にしていない。

でも確かにこうしてみると毒々しいのは事実。

目に優しいとは言えないどぎついグリーンがグラスの中で揺れる。

小さな泡が昇っては消えて、まるで魔女が混ぜる毒のスープだ。

それでも、太陽に透かせばそれは宝石のようにも見えた。


「でも見た目がおかしかったって、馴染めば病み付きになるよね」

「…なんだか意味深に聞こえるな、その言葉」

「ん?私はメロンソーダを褒めただけだよ」

「そうだけど、さ。なんだかディ・モールトぞくぞくしちゃうな」

「変態」


二人で笑い会えば、大粒の氷が揺れて涼しげな音をたてた。


「A」

「どうしたのメローネ、っ」


ふいに落ちついたトーンで名前を呼ばれて、顔を向けた。

近づいた顔に目を閉じるより早く唇が重なる。

軽いリップ音と共にすぐにそれは離れていった。


なんだか、


「いつもより、甘い」

「きっとメロンソーダのせいだな」


そう言ってまた唇を舌でなぞるメローネの髪が風に揺れた。

彼の名前通りの甘ったるい唇の感触は、しばらく私から離れない。

それがなんだか恥ずかしくて、私はグラスの中のエメラルドを一気に流し込んだ。

彼女が堕ちるまで コロラチュラさんリク 吉良吉影&カーズ→←煙草 ディアボロ



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ウィルゴ・パルテノス - リクでダービー兄弟と一緒に日本の駄菓子を食べてみたをお願いします (2022年8月16日 7時) (レス) id: b628f3ea92 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 15さん» コメントありがとうございます。浮上もできない半端な者ですがもう少しだけ頑張るつもりです。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - みかんじゅうすさん» 更新はするつもりです。ですが、度重なる体調不良と将来の進路に関する活動を含む学生生活が忙しくてなかなか趣味としてPCに向かえない日々が続いております。決して投げ出したわけではございません。誠に申し訳ございません。もうしばしお待ちください。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
みかんじゅうす - もう更新されないんですか? (2020年9月16日 23時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
15 - 神よ! (2020年8月15日 22時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒヨコダイル | 作成日時:2018年9月17日 21時

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