遊園地デート 呪いのデーボ ページ26
大きな観覧車の、小さなゴンドラの中。
「…高いね」
「…高いな」
日曜日の昼間だというのに人の気配がしない遊園地。
私はデーボと二人でそこに来ていた。
ところどころ塗装が剥げ、賑やかしのBGMも無い寂れた遊園地は人恋しいらしく、人相の悪すぎるデーボのことも受け入れてくれた。
二人だけでジェットコースターの一番前に乗った。
お互い絶叫しないタイプなので、無言で楽しんだ。
次に回転木馬に乗った。
大きな白馬はデーボには死ぬほど似合わない。彼は白馬の王子様ではなれない。
その後射的で勝負した。結果は僅差で私の勝ち。
そして安っぽいハンバーガーの昼食を摂って、観覧車に乗っている。
私は射的の景品のちょっと古臭いデザインのうさちゃんを抱きしめながら。
デーボはビンのジンジャーエールを煽りながら。
「まさか酒がねぇとはな」
「仕方ないよ。遊園地は子供が中心の王国だもの」
「何でこんな所に連れてきやがった」
基本的に世間一般の人間が好む場所は嫌いなのが彼だ。
いくら寂れた遊園地でも、彼にとってはあまり居心地の良いものではないのだろう。
「んー？恋人と遊園地デートしたいっていうのは普通のことだよ」
「フン…」
何食わぬ顔でそう言えば、彼は呆れた顔でビンの口を噛んだ。
「ねぇ、これ降りたら射的もう一回しない？」
「…今度は勝たせてやらねぇぞ」
「あれ、手加減してくれてたんだ？優しいね」
「言ってろ。泣きっ面かくぜ」
「デーボが」
「Aがだこのトンチキが」
二人軽口を叩き合えば、可笑しくて笑いあった。
観覧車が頂上を少し過ぎた頃、デーボが思い出したように立ち上がる。
無言のまま私に顔をぐっと近づけて、そのかさついた厚い唇を私の頬にくっつけた。
私はちょっと、返事ができないまま唇の触れたところに指をあて、ぽかんとデーボを見つめる。
やがて彼は余裕の笑みを浮かべて私の頭をぐちゃぐちゃに撫でてきた。
「急にどうしたの？」
「女どもは好きなんだろ？遊園地とかいう安い国の中でこういう安いキスをされんのがよォ」
言ってることは感じ悪いし言い方はぶっきらぼう。
でもその傷だらけの頬は仄かに赤い。
だいぶ照れくさいのを無理してるんだ。
だから私は、可笑しくてくすくす笑う。
彼はまたフンとそっぽを向いたが、その表情は心なしか明るい。
彼には悪いが、遊園地デートもたまには有りだと思った。
だってこんなにも甘くて幸せなんだから。
魅せる表情 あいすすとろべりーさんリク リゾット・ネエロ(※激甘)→←暗殺チームが幼女を拾ったようです２
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ウィルゴ・パルテノス - リクでダービー兄弟と一緒に日本の駄菓子を食べてみたをお願いします (2022年8月16日 7時) (
レス) id: b628f3ea92 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 15さん» コメントありがとうございます。浮上もできない半端な者ですがもう少しだけ頑張るつもりです。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - みかんじゅうすさん» 更新はするつもりです。ですが、度重なる体調不良と将来の進路に関する活動を含む学生生活が忙しくてなかなか趣味としてPCに向かえない日々が続いております。決して投げ出したわけではございません。誠に申し訳ございません。もうしばしお待ちください。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
みかんじゅうす - もう更新されないんですか？ (2020年9月16日 23時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
15 - 神よ！ (2020年8月15日 22時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒヨコダイル | 作成日時：2018年9月17日 21時
