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辰哉side
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辰哉「ただいま、ラウ。」
扉を開けると、
体を起こし、ぼーっと窓を見つめるラウールがいた。
お盆に乗っている食事を目にする。
辰哉「あれ?食べてないね・・・?」
昨日から、点滴だけでなく、
ご飯も出されるようになったんだけど、
手が付けられていなかった。
・
辰哉「おなかすかない?」
ラウ「・・・・・・。」
まあ、いきなりは厳しいか・・・
でも少しでも栄養を取らないと、どんどん痩せ細ってしまう・・・
どうしたものか・・・
柔らかく煮込んである野菜を
俺がぱくっとひとくち。
ほんとはダメなんだだけどね。
辰哉「うん、これすっごくおいしいよ。」
おいしそうと感じてもらう作戦。
窓からお盆に視線を移したものの、相変わらずの無反応。
やっぱりだめか・・・。
俺もおなかすいたな・・・
・
・
ラウールを見つめる。
毎日見ているから、何となくだけど、日々の違いが分かるようになってきた。
今日は表情が少し穏やかというか・・・
落ち着いている、そんな気がした。
・
・
その時だった。
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“ガッシャーーーン”
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作者名:ゆり | 作成日時:2020年12月18日 23時