検索窓
今日:25 hit、昨日:11 hit、合計:7,495 hit

アイロニーと意趣返し ページ10

スイカはそのまま、跳ねて行ってしまった。

このままスイカの帰りを待つかと思われたが、待っていても仕方がない、と部長は言うので、私以外の人は皆村の方へ向かうことしにた。

もちろん、私はお留守番だ。

悔しい。毎回思ってはいるが、なぜよりによって私だけが………。

「むう……」

だから、部長に皮肉ってやることにした。

「……頑張ってね。部長も、戦力になるといいね」

「…………あ?」部長は私の目をじとりと見て、すぐに反らした。「…るせぇな」

「ゑっ」

皮肉は失敗した。ナチュラルに言われてしまった。

グッドラック、という意味を込めてにこやかに親指も立てたが(もちろん、上に)、部長には伝わらなかったか。

もっとからかわれて「むむむ」ってなるのを見たかったなぁ。部長がそんな顔になるわけないけど。

「!」

そう思ったら、ぽん、と、私よりも少し大きな掌が、頭に乗っかった。

「………!」

あの暖かさが、手の位置一点に集まる。

「……??部長は私の頭が好きだね…」もしやこれが、部長の意趣返しか? そう考えると納得だった。

「行けるぞ千空」

「今こそ”頭だけじゃねえ”とそっけなく言うのだ」

クロムコハクは小さく私の方に向かって声を投げかけてきた。

「?何だって?」

毎度私と部長が話していると、この二人は何かを喋るのだが、よく聞こえない。

まあクロムの代わりにコハクがガッツポーズをして、

「問題ない!私達のことは気にしなくていいぞ!」

と笑って張り上げたので、気にしないことにした。

「部長?」

「……っ、何でもねぇ」

頭から重さがなくなって、手が離れた。

……何なんだ……。


部長達がラボから出ていった後、私は自分の頭に触れた。

部長に頭を撫でられると、なんだか暖かくなる。

火の近くにいる時の暖かさではなくて、何だかこう………もっと違うものだ。

何でだろう。

うーん…………。

「考えてもどうにもならない、か」

散歩でもしようかな。ふいに思い立ったので、そうすることにした。

私は外に出た。



そうして向かったのは、あの場所だった。

橋の上で(千空)→←銀狼のやらかし



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
119人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇‍♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (4月24日 22時) (レス) @page27 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:長庚 | 作成日時:2023年12月26日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。