日記ふうに ページ5
8月◯日
今日はほとんど寝るだけだった。部長と、特にスイカが様子を見に来てくれた。病原体が移らないように布を口元に着けているけど、大丈夫かな。
スイカとはあまり共通の話題がなかったので、スイカの愛犬のチョークの話をした。”ついで”に私は犬という生物についての説明をした。スイカは喜んで聞いてくれた。
8月◯△日
今日のスイカは何だか様子が変だ。いつもより嬉しそうで、目元がなんというか、物理的にキラキラしていた。
尋ねたら、「これは眼鏡っていうんだよ!」と教えてくれた。キラキラは眼鏡の反射で、スイカは近眼だったらしい。
ついでに言うと私も視力が0.4とかくらいしかないんだけど、部長には何て言えばいいのか分からない。
むしろ目が見えるようになったんだからこれ以上求めるものはないのかもしれないけど。
いや!私はこの視力を遠くを見続けて治していく事に決めたんだから、それを守ろう。
9月◯◯日
硫酸を採りに行ってきたそうだ。とはいっても採りに行くのは失敗で、硫化水素が下に溜まっていたと。そりゃ死ぬよね。
ガスマスクを作って、部長は最後の希望として、クロムを硫酸採取にここに置いていこうとしたらしい。あれ、私は最後の希望じゃないの?
でもクロムは断って、「死ぬときは一緒だ」みたいなことを言い出す。…私は?
とても仲間外れにされた気分だった。おのれ気管支炎……
9月△日
やっと熱がひいた。熱くない。
しかし咳がひどい。9月の空気は乾燥資始めているから、余計に咳が出る。
だというのに部長はちゃんと仕事にかり出してくれた。おのれ部長……!
硫酸採取に成功したので、劇薬をたくさん作った。
クロムがいろんな劇薬に興味を示してくれた。説明するのが楽しい。
いつの間にかラボ、と呼ばれるものがクロムの倉庫の近くに建っていた。
そして仲間が増えた。
カセキという、小さい老人だ。職人技を色々持っていて、面白い技術を見るとむきむきになる。すごい。
あとサルファ剤に必要なものは酒だけだという。
酒は明日の御前試合に勝つとたくさん貰えるそうだ。
明日の……
******* *
「…………って、御前試合、明日なんだ?」
私はラボの中で部長に尋ねた。
「ああ」
部長はぴかぴかのガラスが置かれた棚を眺めていた。
「意地でも勝つしかねぇ……!」
「いや、部長別に何もしないでしょ……」
「…………いや」と、部長は首を振った。
「俺もそれに出る」
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (4月24日 22時) (レス) @page27 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年12月26日 8時