万里の時を駆ける4[Dr.STONE] (ページ25)

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悲しみは薄れページ25

原作では爆発して翌日にゲンが来ますが、ここでは直後設定になっています。

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「爆発でもあった？またゴイスーだねこりゃ………」

「ん」

ぱっと耳を塞いでいた手を離すと、くぐもっていた音がクリアに流れてきた。
元の位置に戻ると、ゲンがちょうど、落ちた破片を拾い上げた。辺りに同じ欠片が散乱して、逃げ遅れた二人は呆然としている。

「何がどうしてこうなっちゃったの？」苦笑気味に、ゲンは部長達の方を見た。煤らしきものを払いながら、部長も正気になり、立ち上がる。

「色々あったんだよ」私は腕を組んだ。これ以上の説明をしてもゲンには分からなそうだった。

「そうそう千空ちゃん、この炭酸ってまさかとは思うけど……」

ゲンは顔を煌めかせて、手に持っていた二つのフラスコを前に出した。中では小さな泡がたくさん発生している。
炭酸だ。

ゲンは私達が言う前からわざわざここまで持ってきてくれたという訳だ。
あの時ゲンにネタばらしをしようとして止められたのは、もしかしてこれが炭酸だったからなのか？
炭酸といえば………。

「ああ……炭酸と言やあ」部長はゲンが持っていたフラスコを一つかっぱらい、笑みを浮かべた。

「炭酸と言えば？」

部長はくるりと背を向け、水酸化ナトリウムのビーカーにそれを投入した。

「水酸化ナトリウムと混ぜて重曹にする！」

「………。だよね～そうそう、重曹！俺もそう思ってた」

「ふっ………ゲン可哀想」

微妙な笑みに変わったゲンを見て、さっきの自分の落ち込みようが薄れたように感じた。

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「スルファニルアミド、そう別名、万能薬！サルファ剤の完成だ！」

かくして時間は少し飛び、サルファ剤は完成までに進んだ。
半年かけて、私達はかつての現代の医療にまで辿り着いたという訳だ。

残念だが、”スルファ”アミニドなのにサルファ剤という違和感はいつになっても拭えなかった。
いや、科学にそんなことを言ったって仕方がないのだ。

「ということで、部長。私を中に入れる権限はあるんだろうね？」

「ったりめーだ。テメーは女だからな、今一瞬だけ籍を入れるっつうやり方もあんだよ」

「はい？冗談はよせ」

危ない危ない。部長に限って、それはなんだか気色悪い。
気のせいだろうか？心拍数も上がったようだ。

とにかく、私の初めての村侵入だ。悲しいとかそういう気持ちは、一旦切り替えなくてはならない。

やるか！