無水酢酸とアニリン ページ24
私達はゲンとカセキを残して、ラボへと戻った。
中には金狼がつっ立っていて、その脇でクロムが仰向けに寝ている。
金狼は私達の姿を見ると、クロムを顎でさして、どうするんだと言いたげな目をした。
後ろからひょこひょことついてきたコハクは腕組みをして、部長の所作を眺めている。部長はなんだか、とてもニコニコしている。
「せ、千空まさか怪我人のクロムを」
コハクの呟きに答えるように、部長は笑顔でクロムに寄った。その鼻に、アンモニアが染みた棒を挿す。
「ふぐわあああああ!!!?」
クロムが白目になって悶えた。oh……。
「アンモニアの素敵な目覚ましだ。おら!とっとと起きて加勢しろ科学チーム!」
「………慈悲の心…」
ってなんだろうとなる。部長はまったくお構い無しに丸底フラスコを持ち上げた。
「あとは素材組み合わせるだけで完成だ。明日までに仕上げるぞ!万能薬サルファ剤!」
******* *
「石炭からアニリンを作る!」
「どうやってやんだ?」
「色々やるんだよ」
「色々って何だよ!!?」
初回はこんなもんだった。クロムの食らいつきに対して、適当に回答し、後でじっくり解説をする。
「お次はアセトアニリドだ。無水酢酸にアニリンをかける!」
「おう任せろ!」
「無水酢酸とアニリンは発熱反応が凄いから気をつけて」
私は真顔で注意する。一度科学部で試験管を何本か破壊した私は、発熱反応の恐ろしさが鮮明だ。懐かしいなぁ。
「これをそーっとかけりゃいいんだな?」
試験管をおそるおそる垂らすクロム。反応が起きているが、ドカンとする気配はない。このくらい警戒すれば大丈夫そうだ。
「へっくしょい!!」
そう思ったのもつかの間、クロムの口からくしゃみが連発した。
少し寒くなってきたというのに、いつもと同じ格好のクロムが悪かった。
試験管のアニリンは、滴りからたくさんの流れを作って、無水酢酸の溜まりに落ちていく。
「うん、なんていいタイミング!」
私はさっと、ラボの隅の隅へと隠れた。
ごぼごぼと、ビーカーが泡立つ。
「お、おい……」クロムが後退りしたが、ちょっと遅かった。
不穏な空気の上に覆い被さるように、爆発音が炸裂した。
*******
復帰しました。落ちました。自己採点ですがもう100%落ちます。辛いね。
これからどうなるんだか……(´;ω;`)
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (4月24日 22時) (レス) @page27 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年12月26日 8時