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8月は ページ3

目が覚めた。

もうすっかり見慣れた天井の組み木が落ち着いている。

朝…………か。

しかし再び、目を閉じた。

……なんか、起きるのが面倒くさいな。

「……う、……ん…」

ゆっくり身体を起こすも、集中しないと後ろに倒れそうなくらいに安定しない。

だるい。身体が重い。

だからもう一度、寝ることにした。




「おいA!いつまで寝てやがる!」

部長が倉庫の扉を開かれたのは、その1時間程後のことだった。

「………騒がしい……」

「テメーが騒がせてんだろうが!何で今日に限って寝坊なんだよ!」

「なんか身体が……だるい」

ドタドタと梯子をかけ上がる音が聞こえる。部長が視界に入ると、一層騒がしくなった気がした。

「ったく、熱でもあんのか?」

部長は私に向かって手を伸ばした。ひんやりしたものが額に当たる。

「部長の手は冷たくていい感じだね」

「逆だ、テメーが熱すぎんだよ。熱出してやがる」間もなく、部長の手は離れた。

あらそうだったのか、と思った。道理で起きられないわけだ。

「8月だしねぇ。一番体調を崩しやすい時期…的なやつだよね」

「呑気に言ってられねえぞ。ただの熱じゃなかったら治療だってできねえかもしんねえ。

とにかく、テメーは今日の活動は休みだ」

「ゑ?」がばっと、私は起き上がった。「やだよ」

「何でだよ」と部長。

「薬草採取に散歩もできないんでしょ?それは辛いな。

昨日ね、ドクダミがそれはもうたくさん生えてるところを見つけたんだよね。そこに行きたいんだけど」

「ダメに決まってんだろ……」

はぁ、とため息をつかれた。まあそうか……。

「分かった、ちゃんとここにいるから。悲しいけど……」

そうしてもう一度床に入った。

何でだって、男がいる前で寝転がらないといけないのだ?

「………欲しいのはドクダミか?」

「はい?」私は顔だけを部長に向けた。

「ドクダミ。そんなら取ってきてやる」

「え」

その言葉に、強く胸を打たれた。本当(マジ)か部長。

「……部長、」

「なんだよ……」

「その顔で”ドクダミ”って言うのは傑作だね。合わない」

「あ!?」

この予想を裏切られたかのような表情。なんてこった。

「あはは!ごめん。なんか面白かったから」

私は笑いながら謝った。



それはもう、すごく騒がしい朝だった。

******* *

すみません。公式では9月じゃなくて8月でした。訂正します。

病状は悪化した。→←理科室にて。



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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇‍♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (4月24日 22時) (レス) @page27 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長庚 | 作成日時:2023年12月26日 8時

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