万里の時を駆ける4[Dr.STONE] (ページ19)

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原作通り…… ページ19

「クロムちゃん！マグマちゃんが動けない今のうちに倒しちゃいなよ！」

ゲンは自信がみなぎる声を飛ばした。

そこに、クロムが何か閃いたようだ。
はっと顔を上げ、大袈裟に手を震えさせた。

「だ……だめだおれ！こしがぬけてもううごけねえ……！」

「た、頼む……よ！早く！」ゲンは、腹から絞り出すような苦しげな声で言った。

「この妖術、ジーマーで妖力使うから、1分しか止めらん…ない…！」

「ムハハハハハ！クロム！！お前が腰抜けで助かったぜ！」

マグマは唾を飛ばした。しかし額からは汗が伝っている。

「このまま妖術使いがカ尽きるまで、黙って待てば済む話だ！」

「……なるほど」

そういうことか。Aは今になって、意図する事が理解できた。

要は、マグマに心臓が爆発するか試さないようにするということだ。うまくマグマを騙して、一分間待たせる。
その間に、クロムに発火を成功させる。

Aと千空で、発火時間を計算して、

ゲンが妖術をかけて、

そしてあとは、クロムにかかっている。

頑張れクロム。君なら出来る。
Aは念を送った。

『力が合わされば、光はそこに火を点す！』

━━━━━━━━━日光が、突き刺すように照っている。

小さな白い糸が、服から浮かび上がった。

その糸は揺れ、空気中に姿を消しては、また浮いてくる。

煙が、

「……………！」

マグマも、自分の服の異変に気づいたようだ。体を見下ろしている。

「なんだ……これは」

「はたけ」

場が騒然とする中、千空がにいっと口角を上げた。

「！！？」

部長のまったく言うとおりにしたマグマの服に、小さな蛍火だったものが、一気に全体に駆け巡った。

マグマは悲鳴を上げた。

「うああああー！！」

「おう安心しろマグマ、俺が超優しく助けてやるよ！」

「ク、クロムまさかの」Aは言いかけて、やめた。

クロムは最後に、男相手は必殺の技を決め、マグマを端から湖に落としてみせた。

「クロム……！」

「ッシャアァァ！マグマ撃破ぁ━━！」

クロムが大きく片腕を突き上げた。拳を握り締める。

「勝者、クロム！」

審判ジャスパーの声が、大きく響いた。

「はっ！！ってことは、残りの選手は！」

「千空、クロム、銀狼ちゃんだけ」

ゲンも頷く。

「もう味方しかいないんだよ！」

「ああ！」

千空がクロムの背中を叩いて言った。

「科学王国の完全勝利だ！」