収斂発…「ん?」 ページ17
村へ行く途中に偶然見つけたAちゃんは、どこかいつもとは雰囲気が違っていた。
それはもうとっても震えてて、何かに怯えてた。
今はすっかり気分はよくなってそうだけど、さっきのはまるで別人。見てるこっちが怖くなりそうなくらいだった。
話がてら村の方に遊びに行かない?って誘ったら、すんなりオーケーしてくれた。きっとその時は、まだ何かに怖がっていたのかもしれない。
「クロムの狙いは、スイカメガネのレンズでマグマの黒い服に着火…どう見てもそれだ」
そして今、千空ちゃん達の観戦している背後で、話というか、科学実況を聞いている。
あー、紙に黒点つけて虫眼鏡で焦がすやつね。昔ちょっとやったような……?
しかし千空ちゃんは目を大きく開いて、クロムちゃんのそれを見ていた。
「……着火用の虫眼鏡は光を集める凸レンズ。逆にメガネは光を広げる凹レンズ。スイカメガネじゃ火なんか100億%つかねえんだよ!」
ふとAちゃんの方に目をやると、何を考えているのか、真顔で試合を眺めている。
多分、クロムちゃんがしようと思ってること、分かっちゃってるんだろうなあ。俺は分かんないけど。
「ダメだクロム!メガネの凹レンズじゃ着火はできねえ!」
「おう、心配すんな千空先生!これでも俺も科学使いの端くれだ!」
クロムちゃんが叫んだすぐ後に、Aちゃんはぼそりと呟いた。
「水か」
「??」
水?どゆこと?首を傾げると、千空ちゃんは
「クロム……まさかあの時スイカマスクの上から凸レンズに水を張って、着火用の凸レンズを作り出しやがったのか!!」
そうすぐに解説してくれた。千空ちゃんはまだ俺達に気づいていないのに、凄いタイミングがいいのね…。
「でもそんなんで火とかついちゃうの?ジーマーで」
「うん」Aちゃんが、ここに来て初めて目を合わせた。
「収斂発火って言ってね、『吸盤+空気の凸レンズで火事んなったことすら……』」
「ん?」
「え?」
「「ん!?」」
突如千空ちゃん、いや他の人達も含めて、一斉にこちらを振り向いた。
「「あ、あさぎりゲン!」」
「つうかなんでAも来てんだよ!」千空ちゃんがAちゃんに近寄った。Aちゃんはさして表情を変えずに言う。
「ゲンに脅迫を受けたのさ……」
「何だと!?」コハクちゃんが俺の方を睨む。
「ええ!?そんなドイヒーなことしないよ!?」
「嘘だよ」
Aちゃんが笑った。
「そんな事より、今はクロム問題でしょ?」
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (4月24日 22時) (レス) @page27 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年12月26日 8時