少女の詩 ページ12
一冊の本が、少女を変えた。
それは植物図鑑。
子供には読めそうもない長文に、面白味のない写真の印刷が詰められたそれに、ひどく心をうたれた。
少女には、それを活用すべきと考えた。
タンポポや、カズラや、時には雑草といわれるものまで記録した。その時には、必ず植物図鑑を持って行く。
そのうちに、動物にも感心が湧いた。
動物園、水族館、博物館に赴き、全てを目に、そして頭に残した。
保育園にいる保育士に植物を見せては、その知識を保育士に教えてあげたり、ウサギ小屋でウサギを観察し続けていたりと、どこでも観察記録が出来るようになっていた。
生理学・生化学、遺伝学、分子生物学、発生学、生態学、行動学、進化系統学、生物工学━━多岐に渡る学問に興味を持ち、修めるようなる。
少女には才に、
好奇心に、
機会に恵まれていたのだ。
━━━しかし、愛に恵まれなかった。
悪さをすれば、家に入れない。
食事はいつも気まぐれだ。ないことが少ないわけではなかった。
平日は夜間保育園。迎えの役割は必ず夜遅くまで仕事をした父。
少女の家庭は、母の独壇場だ。
母は少女を愛している、と。そう言った。
しかし少女には、何が愛なのか分かる訳がなかった。
母の笑顔も、ごはんの懐かしさも、ミルクの味ですらも、記憶というからっぽの虚空に呑みこまれている。
母と父は、共に笑わない。
もちろん、少女も笑わない。
植物図鑑は、唯一父と少女だけの対話だ。
愛を知らぬ少女。
愛が分からない少女。
その少女の名は、なるみ。
成海、A。
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作者後記
うん。
なんでこんなに中二になってんの?
あと、次の話もなかなか意味不明中二病なのでご注意ください。
そうなった理由としては、
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (4月24日 22時) (レス) @page27 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年12月26日 8時