ポケモン本部【あの空の先で】 (ページ9)

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「(……掲示板は)」言われた通りの場所には確かにでかでかとした掲示板が掛けられていて、たくさんの紙が貼り付けられてるのが確認できた。あれが全て困っているポケモンたちのものだと思うと確かに驚くものがある。たくさんのポケモン達が互いに話し合いながら、その紙はどんどん剥がされていき、またしばらくしたらチリーンというポケモンの手により貼られていく。ちりんちりんと鳴るあのポケモンが窓口を担当してるのか。
　ちょっと今は近付けそうにないな……そう思ったライは掲示板を近くで見るより先に、街に行ってみることにした。道具と揃えた方が良さそうだし、話もいろいろ聞きたいし、何よりゲンガーを探したい。どちらかと言えばこちらが本音か。

　廊下から踵を返しててくてくと来た道を戻る。どうにも広い場所だ。たまに大きなポケモンたちにぶつかられては「ああごめん」と早口に謝られることを繰り返す。

「ぶは～！！」
　出口から外に飛び出す。ポケモンが多すぎる＋説明の大雑把さに全然余裕がなかったが、外の開放感を感じると──ようやく手に取るような実感として湧いてきた。憧れていた本部のポケモンにとりあえずでもなれたということに！

「今日から僕は、黄色の救助隊だあっ！！」
　黄色はけっして自慢出来る色じゃないけれど、それでもこれを掲げてこれから生きる。夢の始まりに立てたようで胸が熱くなった。

「──おめでとう」
　すると背後で突然起伏のない声の主に話しかけられた。全然背後に立たれていたことに気付かず、そして大声で黄色の救助隊を名乗ったことに関する恥ずかしさからライは急いで背後を振り返った。
　そこには、あの青い強そうなポケモンがいた。爛々と水色に光る眼をしているのに何を考えてるのか全然わからない不思議な横顔。あの時、あそこで空を見ていたポケモンだった。

「あ、えっと……」
「ああ、すまない。君が知り合いに似てて……呼び止めた」
　最後まで目ではライを見たまま、そのポケモンは話しながら──まるで風がすぎるみたいにスタスタと目の前を過ぎ去って行った。スタスタ、も少し違うか。サッと通ったとでも言おうか……。