ポケモン本部【あの空の先で】 (ページ5)

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2『黄色の救助隊』ページ5

豪華な扉の中の世界は、想像よりもずっとシックな感じだったとライは思う。地味な色で統一された部屋。ただライから見ると窓は大きい気がする。
　本当に豪華なのは扉だけだった……と思いながらライは前を向き直る。そこには小さな魚のようなポケモンが、机の上でふよふよと浮いていた。全然知らないポケモンだ。と言うか逆に言えば北の森しか知らないライには知ってるポケモンの方が少ない。北の森はほかの森と比べ寒い上に小さめだ。強いポケモンも多いわけじゃない。

「おや、ジゼル！その子は誰だね？」
　ふよふよした魚のようなポケモンが、意外と大きな声でそう話しかけてきた。ジゼルはいつも通りなのかなんの怯みも見せずに「志願者ですよ。アーサー本部長」と笑ってみせた。

「……アーサー本部長？」
　そうライが小さく漏らすと、そのふよふよとしたポケモンは「如何にも！！！」とライの前に飛び出した。
「ぅわあ？！」
「私こそがこの本部の長！！ ──ペンドラゴンズ・アーサーである！！」
「ぺ、ぺぺんどら……？！」
「ペンドラーではない！私はシビシラスだ！！」
　ふよふよとしたポケモン、もといシビシラスのペンドラゴンズ・アーサー本部長の威圧(と言うより勢い)が凄すぎてライは口がすっかりまめらなくなっていた。初見なら引いても仕方ないとばかりにジゼルが助け舟を出す。

「アーサー本部長、この子びっくりしてますケド」
「むむ？それはすまないな！！」
「ぁぁ……いえ……」
　本当はいえいえと言いたかったが、出なかった。まだ足がビックリして竦んでる。
　アーサー本部長はパッと踵を返すと、まだびっくりしているライを差し置いて話の本題だがと話題を切り替える。

「志願者なのか？」
その一言にライはハッと我に返り、半ば反射的に「はい！！」と大きな返事をした。
　アーサー本部長は少し考えるような表情を浮かべると、ジゼルお前はまた……とぼやく。