ポケモン本部【あの空の先で】 (ページ21)

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「お前の初めての依頼は俺と同行になったから、ずっと待ってたんだぜ」
「え！でも……ムラサメは警察本部所属じゃなかったっけ？」
　そうライが言った時、ムラサメがゴソゴソと何かを取り出し、ライにみせた。それはバッチ。ライと同じ形のバッチだった。色は──赤。

「俺、赤の救助隊なんだ」──そうムラサメが笑った。やっぱりどこか子供みたいだ。

「えっ」
「だからさっき言ったろ！救助隊と警察、どっちもこなすポケモンがいるから掲示板合体したって！！」
　そういえばそうだった。しかもよく考えたらあのインテレオンがまさにそうだったような気がする。
「救助隊の方は手伝い程度にしかやれてないからな、まだ赤色だけど。これはこれで相手の意表がつけるんだぜ？」
「本当は白相当青の警察ですもんねえ。さすがムラサメさん不意打ちがお得意で」
「……おいそれ褒めてるのか？？」

　だがどうやら、彼は救助隊初心者に依頼の流れを教えるために救助隊の肩書きも押さえているようだ。なるほどなあ、とライは思う。

「じゃ、どれか選べよ」
　そう言って掲示板を示す。ライはとりあえず身長的に下の方から眺めていく。本当は全部助けるべきものだが、正直これはこれで数が多すぎる。
「(胸が痛い)」と正直に思った。
　まじまじと眺める。その中には条件が設けられてるのもあった。例えば、色。

「わっ、白相当からしか受けれないのとかもある……」思わず声に出すと、ムラサメから「そっちは警察本部のだけどな」と苦い声が聞こえた。
「本当だ」──受注条件、白相当青以上。対象は……世紀の大悪党『サーズ』。

「世紀の大悪党」
「ま、ちょっと……いやかなり変わったハッサムだ。あちらこちらの珍しいものを、手段を問わずに奪い取る。そして桁外れに強い」
　ムラサメがそう言うと、コラッタが頷き便乗した。
「あまりにも強すぎて、こいつの影響を受けた馬鹿なポケモンどもも悪さをしてたりすんのよ！サーズの思考に憧れて……なんて言うけど、ぶっちゃけ何考えるかわかんない悪党だから真意は誰にもわからんけどな！」
「救助隊が空の地震を追い掛けるなら、警察本部はこいつを捕まえることを目標にする。かな」
　ライはへえ～と目を点にした。警察本部には警察本部の生きる伝説、と言うやつがあるらしい。