ポケモン本部【あの空の先で】 (ページ12)

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「あっ……」ライは思わず声を出す。空を見ていた、あの青いポケモンだったからだ。ライの後ろから颯爽と現れて真っ直ぐ激戦地帯へと歩いていく。
　だがライには直ぐに分かった。なんだか、雰囲気が違った。さっきライの横を過ぎ去っていった『何者かわからない、風みたいな存在』から『ただ強そうな誰か』に成り代わっているような、そんな気がしたのだ。だから声をかけれなかった。名前を聞くチャンスは、こんな早くに回ってきたと言うのに。

「どけろ」

　低い声だ。ものすごく低い訳では無いがとてつもない迫力がある。ライも思わず身震いした。どうみても──

「(さっきのあのポケモンとは思えない！)」
　とは思っているが、どこから見てもさっきのポケモンだ。首を傾げる。
　その青いポケモンが来た瞬間、周りは氷水でもかけられたようにサーーーっと静かになった。まだ何かを言うとするなら例の青いバッチの2チームだけだろうか。
「貴様はキリキザンの『ハイド』……！」そうフタチマルが彼を呼んだ。ハイド。キリキザンのハイド。彼はそう言う名を名乗っているのか。だがフタチマルは明らかにハイドというポケモンを怖がっている。

「俺は忙しいんだよ。騒ぐ事しか脳がないならさっさと退け」
「てめえハイド、言わせておけば……」
　そうブーバーンが火を強める。コラッタが「お尋ね者街道一直線のハイドさんじゃないですか～！警察署への同行希望ですかあ？」と野次をだす。お尋ねもの……ライはさらに首を傾げた。

「退けれないなら、退かしてやろうか？」
　そうハイドは口角を上げた。その瞬間まわりのポケモン達が一斉に彼らから距離を取る。ライがわたわたしていると知らないポケモンから「危ないこっち！」と手を引かれ走り出された。何が起きているのかさっぱり分からない！
「ハイドが戦う！！」
「えっ、えっ？！」
「あいつ絶対周りの被害考えないんだよ！巻き込まれるぞ！！」
　巻き込まれる？ライはオウム返しにそう返した。フタチマルとガーメイルも急いで離れていっている。ブーバーンだけは火を強めて当たりが灼熱状態になっていた。同じくネンドールも戦う気でいる。